秘密を守れますか?

□Petrel(後編)
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海斗「・・・僕達も、そろそろ帰りましょうか」


未来「あー・・・俺、ちょっち雲雀に詫び入れてくるわ。いいんちょーの怒りと仕事量を増やされない為に(苦笑

だから先に帰っててくれ」



それだけ言うと、そそくさと1人で走って行く。



海斗「あ、ちょっと!」



引き止めようとしても、彼女は脱兎の如くスピードで走っているために引き止められないし、追いかけることも出来ない。


海斗は諦めて、大きなため息をつく。



海斗「ウソばっかり・・・」








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――――――――――――――









未来「結局のところさぁ、お前の言った通りになった感じだよな〜」



薄暗い場所で、彼女は言う。


少し投げやりなその言葉に、返事を返す者がいた。






「そうでしょうか?だいぶ違ったと思いますよ」






未来「いやいやいや、ほとんど言った通りだったから」





「それは少々、聞き捨てなりませんね。私は言ったはずですよ?



―――その未来に進むか否か、それはあなた次第です・・・と」





未来の話し相手・・・この薄暗いテント、〈占いの館〉の主は静かにそう告げる。


相変わらず、椅子に座って目の前の水晶を眺めながら・・・



占い師「それに・・・〈同じ悲劇〉は繰り返さなかったのでしょう?」



それは、数ヶ月前に未来を占った時に言ったことだった。




占い師「白い大蛇・・・。

巻き込まれないように気をつけることだ。血を流さぬよう注意しなきゃ、後で同じ悲劇を繰り返すことになる」





巻き込まれる、というのは海斗が〈参加者〉に襲われた時に巻き込まれるなといことだった。


血を流さぬよう注意、というのはその〈参加者〉の攻撃を受けるなということだった。


後で、というのは今回の一件のことだった。



彼女、未来はその内の〈同じ悲劇〉になる未来を変えたのだった。



占い師「ならば、あなたの望み通りだったのではないですか?」


未来「・・・まぁな」


その問いかけに、未来は歯切れ悪く答える。


未来「そこはどーだっていいんだよ。んなことの為に、わざわざこんな趣味の悪ぃとこに来るかよ」


占い師「酷い言いようですね」


未来「俺の言いてぇことはもぅ分かってんだろ?もう1人の〈参加者〉さんよ」


占い師「仕方ありませんね・・・。あなたがお気付きの通り、






過去で何かが起こったようです」






未来「やっぱそうか・・・」


占い師「どうやらそれが、アノ人の登場に深く起因しているようです」


未来「アイツが来た時には、もぅ過去が変わってたってことか」


占い師「ええ。過去、と言っても・・・どれくらい前の過去なのかは私には分かりません。

ですが、これだけは分かりました」


未来「何だ?」


占い師「過去の改変はもう既に終わっています。

その証拠に、私も少しずつですが未来を見えるようになってきました」


未来「それでも・・・もぅ、原作はだいぶ変わったんだろうな。

それが知れてよかったと喜ぶべきか、変わったことに対して嘆くべきか・・・」


占い師「ですが、これでいつでも驚かずに対処出来るようになったでしょう?」


未来「結果論に過ぎねぇけどな。ま、それだけ聞ければ十分だ」


踵を返し、テントの出入り口へ向かおうとする。


未来「邪魔したな」


占い師「お待ちください。まだ話は終わっていませんよ」


未来「?何だよ?」


占い師「少しずつ未来が見えるようになってきたと言ったでしょう?」


未来「それが?」


占い師「そこに座ってください。あなたの未来を占いましょう」


未来「え、いいよ、もぅ。俺はもぅ知りてぇことは知れたし・・・。それ以上は何も望みませんよ」



占い師「あなたは知っていなければならないのです。あなたには言わなければならないのです。

さぁ、早くそこに座ってください」



未来「お前の自己満で勝手に未来を知らされる俺の身にもなれよ(呆」



などと言ってため息をつきながら、言われた通り占い師の向かいの椅子に座る。



占い師「昨日の晩の夢の中で、あなたの顔を見かけたのです。だから、それにしますね」


未来「Σまさかの夢!?ってか、それにするって何さ!お前の本体、実はソートーなボケキャラだろ!」


占い師「黙ってください。私はいつでも冷静で知的でミステリアスな占い師ですよ」


未来「そー言う辺りゼッテー違うだろーが。もぅほとんど素が出てんじゃねぇか!」


占い師「今のは少し邪念が出ただけです」



フゥ、とため息のようなものを吐く。

そして未来が何か言い返す前に、今までとは違う、低いしゃがれた声で語り出した。



占い師「風花未来、気を付けないと、あなたはじきに深い闇の渦の中心に飲み込まれる。


災いから皆を守るため、辛い茨の道を進まなければならないの。


小さいミイラと大きいミイラに出会って、ミイラの棲み家に招かれる。


ミイラの棲み家は光も音もない世界にある。その世界には棺桶があって、この世の秘密を守っている。




―――以上が、私が夢で見たあなたの未来」





未来「こりゃまた・・・随分長ぇ予言だな。しかも、解釈の仕様がねぇときた」


占い師「無理に解釈する必要はありません。信じる信じないはあなたの自由なのですから」


未来「なら何でわざわざ未来を言ったんだよ」


占い師「ただの警告と考えてもらって構いません」


未来「警告、ねぇ・・・」






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