秘密を守れますか?

□Petrel(後編)
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少女「お、のれ・・・!

おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれェェェ!!!



血のべっとりついた左手で己の顔を覆いながら、ブツブツと呟く。

すると、彼女の体が黒い禍々しいもので覆われた。



未来「おっおー、何やら逆鱗に触れた感じ?」


瑠璃「言ってる場合じゃないでしょ!」


未来「ったく、めんどくせぇな・・・」



ため息を1つ吐くと、地面に落ちているエアガンを拾い上げる。

黄色いBB弾を入れていた弾倉(マガジン)を外し、スカートのポケットから違う弾倉(マガジン)を取り出して入れた。



未来「リン、下がってろ。出来ればこっち来い」



リン「これは〈参加者〉の問題だからね。俺が終わらせるよ?」



未来「こいつ等の前でか?」



リン「・・・・・」



海斗・希「「?」」



リン「本当に・・・未来には敵わないな」


首を軽く横に振り、言われた通り彼女達の許へ来る。


未来「紗那、とばっちり受けねぇようにそのペンダント前にかざしとけ。皆は紗那の後ろにいろ」


紗那「え、いいけど・・・何するの、未来?」


未来「決まってんだろ?」


エアガンを銀髪の少女に向ける。


未来「―――終わらせるんだよ、全部な・・・」



風が彼女の後ろから吹く。それは銀髪の少女には向かい風になる風だった。


未来は迷わずエアガンを連射する。

飛び出したのは、白いBB弾。


その連射されたBB弾の全ては、少女に当たる前にまた自動的に中から破裂する。

破裂すると同時、また白い煙のようなものが立ち込めた。



だが、それは黄色いBB弾の催涙弾ではない。

今の白いBB弾は・・・



少女「っ・・・」



  フラッ・・・

    バタッ



未来「どうだ、効くだろ?――催眠ガスってやつはよ」



黄色いBB弾が催涙弾ならば、白いBB弾は催眠弾。

相手を傷付けることなく、彼女はその〈ケンカ〉を終わらせた。



リン「(さすがの天然物でも、能力を最大限にまで引き出すと無意識でも制御し切れないか・・・)」



倒れて眠る銀髪の少女を見る。

彼女の体を覆っていた黒いものは、空気に溶けるように消え失せた。



未来「(やっぱ、改造しといて正解だったな)」


エアガンを見て、微笑する。


瑠璃「あ、あんなに・・・」



未来「?」



瑠璃「あんなに色々苦労したのに・・・あっさり片付けやがって、お前はーーー!!(怒」


未来「え、何?何で怒られてんの、俺?」


洋一「ないわー。風花ないわー」



未来「何その冷めた目!?全部丸く収まって万々歳だろーが!もっと喜べ、お前等!

そしてわしを崇め奉るがよい!褒め称えるがよい!」



紗那「なんか、おいしいところを全部持ってかれた気分だね〜」


希「それが・・・風花、なんだ」


海斗「ある意味で、空気が読めないのかもね」



未来「何さ、何さ、皆して!ここはフツーに俺が戻って来たってことで「おかえり!」って感じの感動シーンだろ!?」


瑠璃「それを全部ぶち壊したのはお前だからね


未来「な、何だってーーー!!?」



瑠璃「その白々しい演技止めろ!!(怒

もう心配して損した!!ほら、さっさと帰るよ!!」


洋一「そうだな。腹も減ったし」


紗那「作った料理、絶対冷めてるよ〜!」


希「温めないとな・・・」



4人はさっさと神社から家に向かって帰って行く。


それを見送った未来は、ガシガシと頭を掻きながら疲れたようなため息を吐く。



海斗「器用なようで不器用な人ですね、あなたは」


未来「はて、何のことかいのぉ〜?」


海斗「とぼけないでください。―――空元気なのはバレバレですよ」


リン「如月以外の3人は、気付いてなかったみたいだけどね」


未来「いやいやいや、俺ってばいつも元気100倍ですよ?(笑」




リン「アンパンマンか」




未来「ま、ジョーダンはこの辺にして・・・

後のことは、お前に任せるぜ、リン」


リン「分かってる。・・・それより、1つ聞かせてもらってもいいか?」


未来「質問の内容によるな」


リン「今までのことは・・・






―――全部お前の計算通りか?」





海斗「・・・・・・」


未来「買い被り過ぎだろ。俺はんな大それた奴じゃねーよ」


リン「・・・そうか。それじゃあ、こいつは俺が引き取るよ」


倒れている銀髪の少女を肩に担ぐ。


リン「また月曜日の学校でね」


未来「あぁ」



リンは軽く笑って手を振ると、少女を担いだまま何処かへ去って行った。


その背を見ながら、海斗は傍にいる未来にポツリと呟く。



海斗「リンさんに任せる、ということは・・・」


未来「そーいうことだよ。アレは俺達の領分じゃねぇ。〈参加者〉同士が何とかする問題だ」


そう言う彼女は、強く拳を握りしめていた。


未来「どーやって〈参加者〉を〈脱落〉させるか、なんて・・・俺達はその場で見ただろ?」


海斗「・・・・・」



思い出すは、初めて〈参加者〉に襲われた時のこと・・・


あの少年は先程の銀髪の少女の大蛇によって、心臓を貫かれ〈脱落〉した。




リンも、きっと同じことをするのだろう。

だから未来は、瑠璃達の前でそれをさせないために少女を眠らせたのだ。



未来「(何がヒーローだ・・・。結局何も守れてねぇじゃねぇか)」


握った拳から血が流れた。


未来「胸くそ悪ぃ・・・(ボソッ」







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