秘密を守れますか?

□皆の休日
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希「寒い・・・」



ケーキ作りからゴキブリ駆除、そして駆除の為の買い物にイベント変更。

今日、日曜日だよな・・・?日曜なのに、全然休めてない。


あれだな。俺が、あんなこと言ったのが間違いだったんだな・・・。

30匹なんて、言わなきゃよかった・・・。


結局、選択肢2の外に出ることになってる・・・。



希「人生・・・何が、どう転ぶか、分からないな・・・・」


紗那「え、何の話?」


希「何でも・・・ないです」


紗那「そう?それより早く買って、ケーキ作り再開しようね!」


希「もう・・・ナミモリーヌで、買った方が、早いと・・・・思う・・・」


紗那「苦労して作ったケーキが1番美味しいんだよ〜」


希「俺は、楽して・・・食べたい」



だって、苦労してるの基本俺だから・・・。


マフラーに顔を埋めて、寒さに耐えながらイベント、駆除の為の買い物を達成すべく俺は谷垣と一緒に歩き出す。




けど、数歩歩いたところで何かが俺達の横を凄い速さで通り過ぎた。



希「何だ・・・あれ?」


紗那「ツナ君だね」


希「何で・・・また?」



俺がそう言うと、また何かが俺達の横を通り過ぎてツナの後を追いかけて行った。

あれは・・・イヌ?



紗那「ペットショップのアルバイトでもしてるのかな〜」


希「羨ましいな」



すると・・・





ツナの声「アルバイトでも何でもないからね!!?」





紗那「さすがツナ君、こんなに距離があるのにちゃんとツッコミを入れるなんて・・・」


希「アルバイトじゃ、ないなら・・・何なんだ?」


すると今度は・・・


リボーン「レオンにやる餌を間違ってツナにぶちまけたんだ」


希「あぁ・・・それで、追われてる、のか」


紗那「また入院しないよう程ほどにね〜」



リボーンと別れて、俺達はまた歩き出す。

遠くからツナの断末魔染みた悲鳴が聞こえてきたけど・・・聞かなかったことにしよう。








並盛商店街に向かって歩いていた俺達は、住宅街の曲がり角で誰かとぶつかった。



紗那「いった〜い・・・」


獄寺「谷垣に如月!?」


希「まず・・・謝るのが、先じゃ、ないのか・・・・?」


獄寺「うるせっ。俺は今それどころじゃ―――」






待たんか、タコ頭ーーー!!!





あれ・・・?この声って、




獄寺「ゲッ、もう追い付いてきやがった!」



了平「我がボクシング部に入れ、タコ頭ーーー!!!




なるほど・・・獄寺はこいつに追われてたのか。


逃げる獄寺、それを追う了平・・・。

ツナといい、獄寺といい・・・ボンゴレファミリーは、追いかけられる奴ばかりだな。



紗那「今日も笹川さんは元気だね〜」


希「夏でも、冬でも・・・お構いなしに、暑苦しいから、な・・・・」



小さくなっていく2人の背中を見送って、俺達はまた歩き出す。


なんか・・・次も誰かに会いそうだな。




その俺の予感が的中したのか、商店街に入る前にあいつと遭遇した。



雲雀「やぁ」


紗那「あ、雲雀さんだ〜。日曜なのに、どうして制服のままなんですか?」


雲雀「風紀委員に休日なんてないよ。今は町の見回りだ」


希「ワーカホリック・・・か」


雲雀「それより、風花は帰って来た?」


紗那・希「「あー・・・」」



またか・・・。

4人がイタリアに行ってから、雲雀は毎日のように、俺達に風花は帰って来たかって聞いてくるんだ・・・。


風花、何で雲雀に連絡しないんだ・・・。いい迷惑だぞ、こっちは。



紗那「全然帰って来る気配ないです。連絡すらないです」


希「きっと・・・俺達の・・・・こと、忘れてるん、だろうな・・・」


紗那「えー、ウソー!そんなの酷いよー!!」


雲雀「そう・・・。ならいいよ」



そう言って去って行く雲雀・・・。


風花、帰って来たらきっと咬み殺されるか、仕事を延々とやらされるだろうな・・・。



紗那「雲雀さん、未来があっちに行っちゃってから元気ないね」


希「そう、か・・・?」


紗那「そうだよ〜。だって群れてる人がいたらいつもすぐトンファーでやっつけてたのに、最近は興味なしって感じだもん」


希「丸くなった・・・とは、考えないん、だな・・・・」



まぁ、あの雲雀に限って丸くなることなんて絶対にないんだろうけど・・・。


商店街に入って、俺達は目的の場所へ歩いて行く。

だけど、またそこで・・・



「食い逃げだーーー!!!」



紗那・希「「食い逃げ?」」



ある店からそんな大声が聞こえてきたと思えば、黒い影が凄いスピードで俺達の傍にやって来た。



リン「こんなところで奇遇だね、お2人さん!」


紗那「リン君が食い逃げ犯?」


リン「ヤダナァ、ソンナワケナイヨー」


希「そんなわけ・・・あるんだな」


紗那「食い逃げは立派な犯罪だよ」


リン「バレなきゃ大丈夫!!」


紗那「(校則を余裕で破る未来みたい・・・)」


希「店の人・・・出てk(リン「サイナラ―!!」速い・・・・」



目にも止まらぬ速さだ。もうあんな遠くまで行くなんて・・・

さすが〈参加者〉、ただ者じゃないな・・・。



紗那「フフフッ・・・皆、休日でもいつもと変わらないね〜」


希「そう、だな・・・。誰も休んで、ない・・・・」



この世界は、毎日何かしらのトラブルが起こるからな・・・。

皆、休む時なんてないんだろう。



紗那「見てて面白いな〜」


希「面白いか・・・あれ?」


紗那「面白いよ〜。・・・それに今は、ちょっと嬉しい」


希「嬉しい・・・?」


紗那「うん。瑠璃達がイタリアに行っちゃって、私と如月君だけになっちゃったでしょ?

如月君、あんまり喋ってくれないから、私気まずかったの」


希「それは・・・悪かった」



そんな風に思ってたなんて、知らなかった。

これからはちょっとだけ気を付けよう。



紗那「いいの、それが如月君なんだって分かってるから。

だけど今日はいっぱい喋れたから、いっぱい如月君が喋ってくれたから嬉しいの」



谷垣は笑ってそう言う。


嬉しい、か・・・。

やっぱり、俺には分からない。感情なんて呼べるものは、〈アノ時〉にほとんど抜け落ちた。

だけど・・・







ここにいるのは、ツナ達と一緒にいるのは、悪くない・・・。








希「・・・こんな、休日も・・・・たまには、いい、かもな・・・」


その時、彼は微かに・・・ほんの微かに優しい笑みを浮かべた。


紗那「(!え・・・今、笑った?)」
紗那「っ・・・////」


希「?どう、した?」


紗那「なっ、何でもないよ////

ほら、早く行こ!」


希「ああ・・・」



居場所、なんて呼べるものじゃないかもしれない。

俺がいていい場所じゃないかもしれない。


それでも・・・





それでも俺は、ここにいたい。

ツナ達と一緒にいたい・・・。


姉ちゃんみたいに、心を軽く、温かくしてくれる皆といたい。








こういう感情は、一体何て呼ぶんだろうな。








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