秘密を守れますか?

□皆の休日
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希「3分で、ケーキが作れたら、いいのに・・・」


紗那「現実逃避はよくないよ、如月君」



第2の俺の部屋、もとい、こたつから出て、谷垣に背中を押されるがままに俺はキッチンにやって来た。


本当に材料が揃ってる・・・。



紗那「それじゃあ先生、お願いしま〜す!」


希「ハァ・・・」



最近の俺の願い、洋一達(特に海斗)、早く帰って来てください。

毎朝早起きをするのは辛い。三食分作るのは疲れる。俺・・・過労死するかも。


海斗が早く帰ってくるのを祈りながら、俺はチョコケーキを作り始める。

そしたら、谷垣が手伝いながら言ってきた。



紗那「如月君って、どうしてそんなに料理が上手いの?」


希「上手くは、ない。母さんの、手伝いをしてたら・・・こうなった」



いや、正確には・・・




姉ちゃんの代わりに、って言った方がいいかもしれないな・・・。



紗那「一人っ子なの?」


  ピタッ


卵をかき混ぜていた希の手が止まる。


希「・・・・・・」


紗那「如月君?」


希「・・・双子だ。姉ちゃんが、いた


紗那「え、いた?」


希「5年前に・・・死んだけどな」


止めていた手を再び動かした。


紗那「!!ご、ごめん・・・。私、」


希「別に、いい・・・」



忘れたわけじゃない。吹っ切れたわけでもない。

だけどもう、あの時みたいに涙は出てくれない。悲しいっていう感情さえ、湧き上がってこない。


悲しいも楽しいも嬉しいも苦しいも辛いも、何も・・・。

今の俺は・・・








空っぽなんだ。








紗那「本当に、ごめんなさい・・・」


希「気に、するな・・・」


紗那「でも・・・」


希「・・・谷垣は、どうなんだ」


紗那「え・・・?」


希「兄弟とか、姉妹・・・。いたり、するのか?」


紗那「・・・・・ムカつく弟が1人」



まさかの姉か・・・。

てっきり、谷垣は妹で上にいるんだと思ってたけど・・・



紗那「あ、如月君、今私のこと姉らしくないとか思ったでしょ」


希「思ッテナイ思ッテナイ」


紗那「じゃあ何で片言なの!私だって、これでも立派にお姉ちゃんやってるんだから!」



腰に両手を当てて胸を張る谷垣・・・。

うん、やっぱり姉には見えない。大きく背伸びしてる妹に見える。


まぁ、それは俺の姉ちゃんも同じだったんだけどな・・・



希「人って、見かけによらない、な・・・・」


紗那「ちょっとそれどういう意味〜!?」


希「そういう、意味・・・」



頬を膨らませてご立腹の谷垣から視線を逸らして、ケーキ作りを続ける。


あ、そういえば・・・風花も妹だったよな?上に兄貴がいる、とか前に谷垣と東雲が言ってた気がする。(秘密3 参照)


本当に、人は見かけによらない。本当に、人ってよく分からないな・・・。






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