秘密を守れますか?
□それぞれの決意
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瑠璃「もう!どいつもこいつも、自分勝手な奴ばっか!」
荒っぽくティーカップをお皿の上に置けば、ガチャンと音を立てた。
だけどうちは、そんなこと気にしてられない。
瑠璃「修行編スタートとか意味分かんないし!
うちを放って自分達だけで納得すんなーーー!!!」
大声でそう叫べば、ちょっとスッキリした。
ここは家じゃないから、ご近所迷惑とか考えなくていいしね。
ルッスーリア「まぁまぁ、落ち着いて。男の子には男の子の考えだとか、プライドがあるのよ」
瑠璃「未来は女だけど・・・心意気は男以上に男らしいから困るんですよ」
今、うちはルッスーリアっていう人の部屋でお茶をおよばれしてる。
オカマだと思って最初は警戒してたんだけど、
心は純粋な女の子みたい。
もう、うちの目にはこの人が女にしか見えない変なフィルターがかかっちゃった。
瑠璃「強くなって、何になるっていうの。力をつけて、何がしたいわけ。もう、意味分かんないーーー!」
ルッスーリア「そうねぇ、女の子にはちょっと分からない考えかもしれないわ」
瑠璃「どうしてって聞いても、あの3人全然教えてくれないし。
挙句、未来なんか「お前にゃカンケーない」ですよ!?関係あるでしょーがっ!!!」
10年以上の付き合いの幼馴染みに向かって、何だあいつは!!(怒
大体、篠原だってこの世界に来た当初、うち等は運命共同体って言ったじゃない!!忘れたとは言わさないからね!!
洋一だっていつもはバカでKYなくせして、こんな時に限って何も言わないんだから!!何でうちがあいつの空気読まなきゃいけないの!?
瑠璃「あんな連中・・・もう知らないっ!!!」
ルッスーリア「きっとあの子達は、あなたに心配をかけたくないのよぉ」
瑠璃「何も言ってくれない方が心配ですよ。言わなきゃ分かんないことだっていっぱいあるんですから!」
ルッスーリア「瑠璃ちゃんなら分かってくれると思ったんじゃないかしら」
瑠璃「分かりませんよ。うち、エスパーじゃないんですから。読心術とか出来るわけでもないのに」
あぁー、腹立つ!スッゴイ腹立つ!!あの3人のことを考えただけで腹立つ!!!
ルッスーリア「男の子はね、女の子だとか、か弱い子供は男である自分達が守るものだって考えてるのよ」
瑠璃「あー、男のエゴってやつですね。分かります、凄く」
ルッスーリア「だけど私や未来ちゃんのように、力を必要とする、強くなりたいって女の子も中にはいるわ」
瑠璃「っ、」
そうさせたのは・・・そう思わせたのは、きっとうちだ。
うちだけじゃないと思うけど、1割・・・あるいは5分ぐらいの原因はうちだ。
未来・・・お前はまだ、
―――アノ時のことを引き摺ってるの・・・?
もう・・・お前が背負う必要なんてどこにもないのに。
瑠璃「・・・未来の場合、負けず嫌いなだけですよ。
男には負けたくないって・・・昔からそうでしたから」
ルッスーリア「その一方であなたのように、力や強さを求めない優しい女の子や男の子もいる」
瑠璃「?はい」
ルッスーリアさん、何が言いたいんだろう?
ルッスーリア「そのどれも、きっと間違いじゃないわ。1人1人が違う人間なんだから、考えだって1人1人違うの。だから、」
瑠璃「?」
ルッスーリア「あの子達の考えを、あなたが認めることが出来ないっていうのは分かるけど、
それを無理矢理あなたの考えだけで止めさせることは出来ないの」
瑠璃「・・・難しい、けど・・・・何となくは、分かります」
そりゃ、一生懸命強くなろうとしてるあの3人の邪魔はしたくない。
だからうちはこうやって、ルッスーリアさんのところにいるの。
瑠璃「でも、こう・・・何て言うか、それだけじゃうちも物足りないというか、
暇っていうか・・・・何もしてない自分がもどかしいというか、」
ルッスーリア「ただ待つ身は辛い?」
瑠璃「そうです、それです。そんなこと言っても何もならないって分かってても、うちは・・・待ってられない」
だってそれは、うちの性分じゃないもん。
ただ黙って待つことが出来るのは、紗那ぐらいだよ。
うちは、紗那みたいなそんなか弱くて可愛い女じゃない。
男子が守りたいと思う程、おしとやかで女の子らしい女じゃない。
瑠璃「うちは、待てずに追いかける方ですから」
未来は自分1人で先に先に進んでいくタイプ。
紗那はその場でただ黙って待つタイプ。
対局の存在・・・。
だから、紗那は未来にベッタリなんだ。自分にないものを持ってるから。
だけどうちは、そのどっちのタイプでもない。
だから・・・
瑠璃「ルッスーリアさん、」
ルッスーリア「なぁに?」
瑠璃「うちに・・・
修行をつけてください」
うちは、紗那や未来とは違うタイプだ。
紗那のように未来の帰りを待ちきれず、その後を追って行くタイプ。
それで2人に、呆れながら迎えに来てもらうの。
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