秘密を守れますか?
□それぞれの決意
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スクアーロ「よぉし、一旦休憩してその後に腕立てと懸垂、100×100セットだ」
未来「うん、もぅそれ1万って言ってくれた方がいいよ。100と言わず500×20でいいよ」
昨日みてーな刀を使った組み手の後に、そんなメニューを言われた。
でも、どーして・・・
未来「何で腕立てと懸垂だけ?腹筋とか背筋とか、スクワットはしなくていーの?」
スクアーロ「お前の場合、その細っこい腕をまず何とかしねーとなぁ。もっと肉食え、肉。
そんなんじゃ、昨日みてぇに簡単に刀を弾かれるぞぉ」
ムゥ、確かにそれは道理に適ってる・・・。
けど、
未来「俺はスピード重視だから、パワーはそんなにいらねぇのにな・・・」
スクアーロ「分かってねぇようだからハッキリ言うぞぉ。
お前の刀は重くねぇ」
未来「!!」
うわ、今のグサッときた。
んでもって、ズシンとその言葉が鉛みてーに俺の心に沈む。
未来「それはまた・・・何でだろーな(苦笑」
スクアーロ「んなもん、テメェが1番よく分かってんだろーがぁ」
未来「・・・・・・」
スクの言ってることは的確に的を得てる。
俺の刀が重くない理由、それはただ1つ・・・俺の中に、
迷いがあるから。
・・・まだ、俺はアノ時のことを引き摺ってる。
いや、引き摺らねぇ方がおかしい。このまま一生、ゼッテー引き摺っていかねぇといけねぇんだ。
そーいや・・・クソ神のヤローは、俺に最初からこの二刀を渡すことを決めてたっつってたな。
俺の気持ちを反映する、この二刀を・・・。
それはつまり、俺に迷いを捨てろってことか?
楔(くさび)を断ち切れって言うのか?
未来「悪ぃけど・・・この迷いはどうやったって捨てられねぇよ。誰に何と言われても、捨てられねぇんだよ」
スクアーロ「それは、剣の道を究めねぇってことかぁ」
未来「いいや、それは違う。迷いは捨てられねぇから、
この迷いを受け入れるんだ」
スクアーロ「受け入れる、だとぉ?」
未来「迷いがねぇ人間なんて、迷わねぇ人間なんていやしねーよ。そんな奴はもぅ、人間とはいわねーよ。
・・・俺は少なくとも、そんな人間のままでいてーんだ」
苦笑染みた笑みを浮かべて、俺はスクの顔を見ながら言葉を続ける。
未来「俺は欲張りな奴だから、そー簡単に切り捨てられねぇんだ」
スクアーロ「・・・心は切り捨てたのにか?」
未来「、ヤダー、スクってばこっわーい(笑」
スクアーロ「はぐらかすんじゃねぇ!目を見りゃ分かるんだよ。テメェのその目は・・・―――己を捨てた目だ」
何ですか、あなたもツナやザンザスと同じで超直感でも使えるんですか。ブラッド・オブ・ボンゴレですか。
白眼ですか、白眼で俺を見透かしたんですか。
小さく息を吐いて、降参ですとばかりに微苦笑。
未来「・・・俺は、ヒーローになりたいんだよ」
スクアーロ「?」
未来「強くて、優しくて、カッコよくて、弱音をはかなくて、ゼッテー泣かねぇ・・・そんなヒーローに俺はなりたいんだ」
スクアーロ「・・・・・・」
未来「だから・・・心はいらねぇ。怖いとか辛いとか、苦しいとかいう感情は俺にいらねぇんだ。
俺が、そんな感情を持っちゃいけねーんだ」
スクアーロ「どうしてだぁ」
未来「そんな感情があったら、守りたいもんも守れねぇだろ。
あいつ等の・・・瑠璃達の前では、強くてカッコいいヒーローでいてぇんだよ。あいつ等は、こんな弱ぇ俺を強い俺と信じてくれてんだからな」
スクアーロ「その為なら、自分はいくら傷付いてもいいって言うのかぁ?」
未来「トーゼンだろ。いくら傷付いたって構わねぇ。だけどゼッテー倒れたりしねぇ。だって・・・
ヒーローが負けたら、誰が皆を守るんだ?
ヒーローが頼りなかったら、皆は誰を頼ればいいんだ?
だから俺は強さを求めるんよ。だから俺は、強くならにゃいかんのよ。誰にも・・・自分にも負けねぇぐらいな」
小せぇ時、〈アイツ〉にそう言えば「そんなヒーローは辛いだけだよ」と言われた。
「そんなヒーローは守られてる側の気持ちを分かってない」と言われた。
そして・・・
そんなヒーローには絶対ならないで
と言われた。
それでも俺は、その言葉には従えない。
未来「俺は・・・ホントに欲張りな奴だから」
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