秘密を守れますか?
□それぞれの決意
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マーモン「それじゃあ、始めようか」
海斗「あの・・・始めるって、一体何をするんですか?」
体育館並に広い修練場のようなところで、僕はマーモンさんと対峙しています。
赤ん坊なのに暗殺部隊の一員なんて、まるでリボーンさんのような方ですね。
マーモン「幻覚を見破る訓練だよ」
海斗「!幻覚を・・・?」
ということは、マーモンさんは幻術使い?
そんなことを僕が考えていると、目の前のマーモンさんが一気に・・・
増えました。
僕の周りにはたくさんのマーモンさんがいます。
10や20なんかじゃない・・・100人近くはいると思いますね。
海斗「これが・・・幻覚」
マーモン「幻術というのは人の知覚、すなわち五感を司る脳を支配するということ」
100人近くいるマーモンさんが一斉に話出して、声が何重にも重なる・・・。
脳を支配する術か・・・
海斗「だからこれだけマーモンさんが周りにいると、僕の脳が勘違いしているんですね」
マーモン「そうだよ。術士の能力が高ければ高い程支配力は強く、術にかかる確率も高まり、より現実感(リアリティ)をもつんだ」
海斗「意外に奥が深いですね」
マーモン「君は僕の幻覚世界に入ってしまった。今から君がすることは1つだ」
海斗「幻覚ではない、本体であるあなたを見付け出せ・・・ですね」
マーモン「物分りがよくて助かるよ。幻覚を見破ることは高度だ。だけど、これが出来なきゃ僕が君に教えることは何もない」
修行をつけてほしかったら本体を見付けろ、それがスタート地点に立つ最低条件ってことですね。
海斗「分かりました。遅くても、必ず今日中には見付けます」
僕はこんなところで立ち止まっているわけにはいかない。
強く・・・なりたいんだ。
マーモン「・・・・・」
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海斗「っ・・・ハァ、ハァッ・・・・」
あれから何時間経ったのでしょう。
目を凝らして、周りにいるマーモンさんが本物かどうか見分けていくのは思ったより体力を使うことだと分かりました。
肉体的ダメージではなく、精神的ダメージを与える・・・
それが幻覚ということですね。
マーモン「諦めるかい?」
海斗「まだ、です・・・。僕はまだ、やれます」
マーモンさんだって、幻覚をそう何時間も維持出来るわけじゃない。
きっとどこかに綻びがあるはずだ・・・。
マーモン「・・・分からないね」
海斗「?」
マーモン「どうしてそこまでして君達は・・・君は強くなろうとするんだい?」
海斗「・・・さぁ、僕には洋一や風花さんの考えることは、分かりません」
2人はこの世界を、原作を知っているからかもしれませんが・・・それ以外にも何かありそうなんです。
だけどそれは僕には分からないし、あの2人もそれを僕に言おうとはしません。
それは僕も同じです。僕もあの人達に言うつもりはない。
海斗「だけど僕の場合は・・・弱いままじゃいられないからです」
マーモン「何故?」
海斗「・・・・・それは、」
思い出すのは、この前〈参加者〉という人に襲われた時のこと・・・。
僕を庇ったばかりに、風花さんはケガをした。
海斗「もう2度と・・・女性に守られたくはないんです。
今度は、僕が守りたい」
そんなことを彼女の前で言えば・・・きっと、あの人は笑って「守らなくていい」と言うんでしょう。
それだけは、どうしても言わせたくない。
マーモン「それが、君が強さを求める理由かい?」
海斗「ええ。あの人にも頼られる男になりたい」
だからあの人達の前でだけは、このことは絶対に言えないんです。
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