秘密を守れますか?
□忍び寄る殺意
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異変を感じたのは、いつもと何も変わらない月曜日の朝のことでした。
瑠璃「今日の1時間目って何だっけ?」
紗那「数学だよ〜」
・・・・・・。
瑠璃・未来・洋一「「「宿題やってねーーーーー!!!」」」
海斗「分かっていると思いますが、一応言っておきます。僕は見せませんよ」
洋一「そこをなんとか!」
瑠璃「如月に見せてもらえばいいんだよ」
未来「あいつ、1時間目にゼッテー来ねぇだろ。よくて2時間目の授業だ」
その日も、洋一達4人と一緒に登校していたんです。(希はいつも遅刻して、1人で来ます)
数学の宿題について話していると、後ろから異様なねっとりとした視線を感じました。
海斗「?」
振り返ってみても、そこには誰もいません。
僕の気のせいだったんでしょうか?
歩き出そうと僕が顔を前に向けると、僕と同じように振り返っていた風花さんと目が合いました。
その風花さんは、どこかいつもと雰囲気が違うんです。
纏っている空気というんでしょうか・・・
海斗「風花さん?」
未来「今・・・」
海斗「?」
未来「・・・いーや、何でもねぇ。気にすんなぃ」
先程の表情とは打って変わって、風花さんはいつものおちゃらけた表情にパッと変わったんです。
もしかして、風花さんもさっきの視線に気付いたのかな・・・?
海斗「(何だったんだろう、あれ・・・)」
その時は、深く考えようとしませんでした。きっと、自分の気のせいだと思っていたんでしょう。
ですが、その視線をその時から度々感じるようになったんです。しかも、決まってそれは登下校中。
何度か振り返ってその視線の正体を突き止めようとしたんですが、やっぱりそこには誰もいないんです。
洋一「どーしたんだ、海斗?」
希「何か・・・いるのか?」
海斗「・・・ううん、何でもない」
洋一「そーか?」
未来「チッ・・・ウゼェな」
紗那「?未来、何か言った?」
未来「いんや、何も。・・・あ、そーだ。海ちゃんや、ちょっくら付き合ってくんろ」
海斗「何ですか、急に。
お金なら貸しませんよ」
未来「アッハッハ、君には僕がどういう風に見えてるんだろーね」
瑠璃「2人で何処に行くの?」
未来「ちょっちそこまで〜。用が済んだらすぐ帰るよ。さぁ、行こうぜ海ちゃん」
海斗「あ、ちょっと・・・引っ張らないでください」
よく分からない風花さんに腕を引かれて、僕は並盛神社に連れてこられました。
海斗「こんなところに、何の用があるんですか?」
未来「んー?ちょっとした見極め」
海斗「見極め?」
その意味がよく分からなくて首を傾げると、風花さんは地面に転がっている小石をいくつか拾い始めました。
「何をするんだろう?」そう思って見ていたら急に・・・
未来「屈んでくれ」
海斗「はい?」
急に、その小石を四方に投げつけたんです。
咄嗟のことで驚きましたが、何とかそれに当たらず避けることが出来ました。
この人は何を考えているんだろう・・・。
海斗「危ないじゃないですか」
未来「だから「屈んでくれ」って言ったろ?海ちゃんなら上手く避けてくれるって俺信じてたよ(笑」
海斗「そういう問題じゃありません。どうしてそんなことするんですか」
未来「だから見極め」
海斗「何のですか」
未来「ここ数日、俺達の後をつけてきた奴がついて来てねーかの見極め」
海斗「!」
やっぱり、風花さんは気付いていたんだ・・・。あの視線を、
未来「ウゼェったらありゃしねぇ。用があんなら出て来いって話だよなー」
海斗「でも・・・どうして僕を連れて来たんですか。その見極めなら、風花さん1人でも出来るでしょう?」
そう僕が問えば、風花さんは何故かキョトン顔。
僕、何かおかしなことでも言ったかな・・・?
未来「えーっと・・・
なんかごめん」
海斗「どうして謝るんですか」
未来「や、だって・・・。うん、そだな。今日のことは忘れてくれ。そいじゃ帰ろうか」
海斗「誤魔化さないでください。何なんですか。僕を連れて来た理由が、ちゃんとあるんでしょう」
未来「だって気付いてないっぽいし。それならそのままの方がいいかなーと、心優しい俺は思ったのですよ」
海斗「よく言えましたねそんな言葉」
未来「それが俺の凄いとこ☆」
海斗「そうやって話をすり替えないでください」
未来「チッ、バレたか・・・」
海斗「僕が何に気付いてないと言うんですか?視線のことなら、僕だって気付いて(未来「それじゃねーって」じゃあ何ですか」
未来「少年よ、あの視線をただの視線と思うなかれ」
海斗「そのキャラウザイです」
未来「あれは紛うことなき、
純粋な殺気なんよ」
海斗「え・・・?」
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