キラキラの世界(テニプリ連載)@


□存在の意味
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「おはよ・・・」

「ああ」

「え?あ!築山さん!
おはよう」

下駄箱でとある二人に遭遇した。
周りに人は疎ら。
何故なら、もう少しで遅刻になりかねない時間だからだ。

そうそう、朝から出会った二人。
朝練が終わったのだろう。
同じクラスでお隣さんのテニス部部長、手塚国光。
今日も非の打ち所ナッシング。

そして、何故か私の名前を知っている茹で玉子。
私も知っているぞ。
君は副部長。

「あ、俺は手塚と同じテニス部で、二組の大石秀一郎。
よろしくね、築山さん」

そう、大石。
へえ、そんな名前だったんだ。

「よろしく」

って、名前言われちゃったから、言うことないよ。

「築山さんは、朝寝坊かな?」

爽やかすぎる。
見習え、手塚。

「それが、バス乗り間違えて・・・。
何回諦めようとしたことか」

「そりゃあ大変・・・頑張ったね」

その労い。
諦めなくてよかったとさえ感じる。
流石は、青学の母。

「じゃあね、築山さん!
手塚も」

そう言って、隣のクラスに消えた大石。
遅刻と孤独な戦いを繰り広げていた私の冷えた心に、春の太陽の光を落としていった。

「築山」

そして、残された私達。
手塚が呼び掛けてきた。

「ん〜?」

こんな適当な返事は許されるだろうか。
いいじゃん、まだ子供なんだもんっ。

「あっ、ヤバイ。先生だ!」

廊下を曲がった担任の姿を発見。
慌てて教室に入る。
手塚をスルーしてしまう形となったが、どうせ隣の席。
何かあるなら、何時だって話せる距離だ。

さあ、今日こそ油断せずに行こう!
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