白と青と、そして赤。

□海が繋げる想い
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「マジか・・・」

八木はそう呟いただけで、フラフラと水際に歩いて行った。
そして、みんなと反対方向で、海に入る。

思い詰めた顔。
入水自・・やめてよね。

しかも、悪魔の実置いてったし。
どうすんだよ。
一応は、大事なものなのに。

「カヲルちゃん、ビキニにならないの?」

八木の後に、今度はサッチが砂の城の横に座った。
サッチの目の前に、あの実があるだけに、何か緊張する。

「やっ!やっ!
埋めてるよ!埋めてる!」

サッチが慌てて、砂の中からヤミヤミの実を取り出す。
これが正しい取り扱い。

「・・・あ、すみません」

八木が捨てていったなら、埋めてもいいんじゃないかと、無意識に被せていたみたい。
サッチが丁寧に砂を払いながら、私に視線を合わせた。

「もしかして、カヲルちゃんって、ヤギと付き合ってるの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・は?」

「おそっ!」

彼の質問が、いまいち理解出来なくて、リアクションが遅れた。

「だってさ、これお宝なわけよ、一応。
ヤギには言ってんだよ、凄い価値があるって」

それは分かる。
私もそう思ってる。

「あのにあいつ、置きっぱで泳いでるからさ。
だから、カヲルちゃんに全面信頼なのかなーって」

サッチの指が八木を指す。
奴は何故か、全力でバタフライしていて、

「最後の一泳ぎなんじゃないですか」

私は冷たく呟いた。
サッチが、ハハハと笑う。

「嘘ですよ。
多分、あいつ食べません」

「え?」

「あいつ、泳いでないと死んじゃう病なんですよ」

驚かせてすみませんとばかりに、私も笑ってみせた。
そして、

「サッチ隊長が見つけてたら・・・食べますか?」

今度は私が質問をしてみた。
聞いてみたかった事。
しれっと言ったつもりだけど、本当は心臓がドキドキと揺れている。

最初はキョトンとしていたサッチ。
まさか私の逆質が来るとは、思ってなかったのだろう。
そして、

「食べないよ」

「え?」

私にそっと返す。
まるで、今食べないとでも言うように。
いや、私にくれなくていいんですけど。

「俺っちが泳げないと、助けられない奴らが沢山いるからね」

そう言ったかと思えば、

「エース、あのバカ!」

レスキューよろしく砂浜を走り出す。
向かう先は、ストライカーから落ちた能力者の救出だった。

「食べないのか・・・」

そう言う彼なのに、命を奪われた。
やり切れなくなる。

八木も食べない、サッチも食べない。
そして、モビーに戻れば、これが欲しくてたまらない奴がいる。

「カヲル、肉食えよい。
それは、デザートじゃねえぞ」

「・・・」

今度はマルコ。
微妙にお城を踏んでいる。
もう大作は、原型を留めていなかった。
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