白と青と、そして赤。

□スモールカンパニー
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「サイモンさん」

イゾウの部屋を出て食堂に向かうと、同じように歩く小池部長と野口君に会った。

トリップメンバーで一番偉い製造開発部長と、生産企画部新人のデコボココンビは、マルコの1番隊所属だ。
彼らに並ぶと、ヒルティは先に行くと目で合図して、気を遣ってくれた。

「さっきマルコ隊長から聞いたんだけど、もう治ったって本当?」

小池部長が食い付くように聞いて来た。
確かに、一週間ばかしでは、普通は治らない。

「本当ですよ。
何か、こっちでは治るのも早いみたいです」

不思議ですねーと、誤魔化す。

「野口君、1番隊はどんな感じ?」

今みたいにマルコと会話があるのなら、上手くいってるのだろうと思った。
ただ、部長の手前、新人君は静かにしているみたいで、私から話しかけることにしただけ。

「1番隊ですか?」

「うん」

メッチャ羨ましいけど、だからと言って所属したいわけではない。
興味はありありなので、是非何かしらの情報は聞き出したいとは思っています。

「最高です」

「え・・・?」

「死ぬほど、嬉しいです」

目がキラキラしている。
拳は握られ、ガッツポーズのようになっていた。

「不死鳥のマルコ、メチャメチャ格好よくないですか?」

「・・・」

そう来たか。
危うく、賛同しかけたじゃないか。

「野口君は、ワンピース?
その漫画の大ファンらしいんだ」

「あ、ああ、そう言う・・・」

それなら、1番隊に行けた事を、さぞや誇りに感じているだろう。

「サイモンさんは、何番隊でしたっけ?」

「あ、16番隊!」

これだって凄くない?と無言でアピールしたつもりだったけど、

「誰が隊長ですか?」

そんな返しが来た。
こんな常識中の常識も知らなくて、大ファンとか言うなや。

「イゾウ隊長」

「へえ・・・あんまり知らないな」

「・・・」

絶対、大ファンじゃない。
認めないわ!

「サイモンさん、実はね・・・」

耐えている私に、小池部長が話を切り替えるような素振りを見せる。
仕方なしに、冷静さを取り戻しつつ耳を傾けると、

「今夜、会議を行おうと思っていてね」

そう言った。

会議。
久しぶりに聞いた単語だった。

無駄なくらいに、会議ばかりしていた元の世界を思い出す。

「もうマルコ隊長には、許可を貰っているんだよ。
一度、私達だけで話し合いたいとね」

「許可が?」

意外だった。
ちゃんとしている。

これが1番隊スピリッツなのか。
なんてね。
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