白と青と、そして赤。

□何者なのか
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「最後に捕まった奴が、仲間なのか?」

流石にサボは回転が速い。
私がコアラを止めた訳も、革命軍の存在を知っていた理由も、その一言で察してくれた。

やっぱり、この名は偉大だ。
全てがクリアしちゃうんだから、親父すげー。

「仲間かもしれないので、聞きたかったと言うか・・・」

多分そうなので、出来たらついでに助けて欲しいとまで言いたい。

「厄介だな・・・」

「え?」

サボがポツリと言った。
そして、

「悪いな。
簡単には離してやれなくなった」

こんな耳元で言っちゃダメなセリフを、さらりと言いやがった。
って、多分意味は全然違うとは思うけど。

「な、何で?
海賊は助けてくれないとか?」

そりゃあ、仲間じゃないのは分かってる。
けど、海賊だから人買いから助けてやれないなんて、ちょっと差別じゃない?

「フッ、助けてもらうの前提かよ・・・。
でもな、そう言う意味じゃなくて」

立ち止まる。
いつの間にか私は、お姫様抱っこされていた。

「わっわっ!」

「ちゃんと掴まってろよ」

そう言いながら、私を引き寄せたせいで、私はサボの首に手を回すことになる。
近い。
心臓音が伝わりそう。

「お前返すと、仲間呼びに行くだろ?
それは、困るんだよ」

抱きしめてる形になったせいで、サボの声が後ろから聴こえてくる。

「なんだ・・・」

私はホッと息を吐く。
何となく、彼の言いたい事を理解出来たから。

折角アジトを見つけたのに、海賊が大騒ぎしたら、助けられるものも助けられない。
そんなところだろう。

「三人で充分でしょ?」

彼らは強い。
知っている。

「・・・ああ」

伝わったようだ。

屋根の上。
さっきよりは、街は暗くなってきていた。
その色が、私のタイムリムットを告げる。

「でも、誰にも言わずに出てきちゃったから、早くしないと捜索隊が出るかも」

「・・・なんだよ、その過保護っぷりは」

「・・・すみません」

二人揃って、部屋にいないのが分かれば、ヒルティは総出で探すだろう。
更には、イゾウにバレたら、もっとヤバいことになりそうだ。

「お前は、メンバーに入らないつもりか?」

「え?
私、強くないですけど?」

「一般人は、二階から飛び降りねえ」

「・・・戦闘とかは、無理です」

まさに役立たず。
それで、よく一人で出たな私。
考えなしの行動が恨めしい。

「フッ」

サボが笑った。
そして、

「じゃ、貸しな?
カヲル」

ふわりとジャンプした。
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