白と青と、そして赤。
□目にした青
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私の月歩は、クルーだけでなく、同僚達にも衝撃だったようだ。
私より運動神経の良い人たちも、何故かこれだけは出来ないらしく、
「コツは?
どうやったら出来る?」
八木が何度も聞いてくる。
「え?
ただ、宙を蹴るだけたけど・・・」
「普通、宙は蹴れないんだよ!」
まあ、そうなんだけどさ。
感覚論になってしまう。
強いて言うなら、これは愛。
ルッチさんの月歩。
サンジ君のスカイウォーク。
それをイメージして、同じように跳ぶだけなのだ。
そんな説明は出来ないけど、私と同じくらいファンなら、きっと言いたいことは分かるはずだと叫びたかった。
この身体測定は、恐らくは私たちの隠れた、いや隠しているかもしれない能力を調べるのが目的だった事だろう。
しかし、隠さない私達。
しかも、驚いたりコツを教えろと言ったり。
こんな様子に、親父は笑う。
面白れえ奴等が加わったと。
そんな笑顔が見れるのなら、私は何度だって空を飛ぶだろう。
ちなみに身体測定の前に、一番大事な検査も行われていた。
それは、悪魔の実の能力者であるかないかと言うこと。
それを前提に調べないと、そのせいだったってなってしまう。
マルコもそれがまず知りたかったのではないかと思う。
海楼石の塊と思われる大きな石を、サッチが持ってきた。
それを持ち上げろと言うのだ。
もしかして力もアップしたのかと、みんな必死で持ち上げようとする。
出来るわけないし、万が一出来たとしても、実力となるわけで、
「フッ・・・」
ちょっと可笑しくなった。
上手いな、こう言うの。
然り気無い策士振りが、私的には好印象だったわけで。
「持ち上がらない・・・」
もれなく私も力自体はアップしていなかった。
そして、力が抜ける現象も起こらず、悪魔の実の能力者と言う、最高級のトリップ補正はゲットすることが出来なかった。
まさかの海楼石ではないパターンかとも疑ってみたけれど、
「力がでねえー」
エースが来て、石を掴んでフニャフニャと倒れた。
余りにも私達が反応しないから、エースの方が石を疑ったのだ。
「アハハ」
それを見て思わず、声を出して笑ってしまった。
ヤバいとすぐに口を閉じたけど、既に遅し、エースが無言でこっちを見ていた。
そして、
「しゃーねーだろ・・・」
拗ねたように口を尖らせ、ボソッと呟いた。
「!!」
なんたる可愛さ。
あやうくキュン死するかと思った。
すると、
「エース隊長かわいい!!」
大滝かんさが私を押し退け、エースの前に出る。
既に彼と面識が出来たのか、気軽に話しかけているし。
「っす・・・」
私は頭を軽く下げ、そそくさとその場を去った。