白と青と、そして赤。

□トリップ補正
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お昼をとって休憩の後、甲板には16番隊が集まっていた。
まだ覚えられないけど、数人は分かる。

「実戦形式をイメージしてるらしいけどな、まあ簡単に言えば城落とし合戦みたいなもんだな」

ヒルティの説明に、ワクワクしてきた。
それぞれの隊でチームワークを駆使して、相手の陣地に攻め混む。
そして、相手のお宝を奪ったら勝ちと言うルール。

「カヲル、来たのか」

「・・・は、はい!」

16番隊の輪の中、居たのはイゾウだった。
流石に呼ばれると思っていなくて、一瞬焦ったりして。

そして、

「丁度いい、お前がうちのお宝だ」

「は?」

何かとんでもない事を、耳にしたかもしれない。

「安心しろ。
絶対、お前を守り抜くから」

ヒルティ始め、16番隊クルーが私に同じことを言いに来る。
そんな私は、樽の上に座らされ、言葉もなく頷くだけなのだけれど。

どうやら私は、実戦さながらの戦いごっこの最終ゴールにされたようなのだ。
何故なら、相手側の向こうにも遠くに同じ樽が見え、そこにも私と同じような境遇の人間が座っているから。

八木だ。
私が座ったすぐ後に、担がれるように連れてこられた。
彼は確か3番隊だっから、今日の対戦相手はサッチ隊。

イゾウのこの提案に、ノリノリで乗ったサッチが指示して、八木がああなったと言う事。
もう一人は桐島さんだったから、流石に60歳過ぎにはさせないか。

別に私達が戦うわけではない。
こうして間近で見られるわけだし、楽しまなきゃ損とも言う。

そして、ゲームが始まった。

「カヲル、怖いか?」

参加はしないイゾウが私の隣に立つ。
目の前では、意外と真剣な格闘が繰り広げられていてビックリ状態ではあったけど、

「いいえ」

まあ、許容範囲内だ。

「私は大丈夫なんで、もっと見やすい場所に行ってください」

真ん中に立つサッチを指差す。
真剣な顔をしてるフランスパンが、ちょっと新鮮だったりする。

「ちなみに、お前の座る樽が割られたら終了だ」

「え、樽?
って、私関係なくないですか?」

「お前自身の方が良かったか?
もみくちゃにされるが」

「いやいや、それは絶対嫌ですけど!」

でも、私や八木がここに座る意味が分からない。

「守る側の気持ちが、これだけで変わるんだよ。
現に、今日の動きは良い」

腕を組み、仲間の戦いを誉めている。
そして、

「最後には勝負がつく。
怖くなったら何時でも下がっていいからな」

イゾウは私の頭にポンと手を置き、そのままサッチのいる方に行ってしまった。
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