白と青と、そして赤。
□振り分け
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「一番隊には、あんただよい」
製造部長がご指名された。
まあ、一番立場が上なのだ。
それをマルコは、敢えて選んだ。
そして、続くように各隊長が前に出て、ざっと私達を一瞥した後、
「じゃ、お前は○番隊だ」
ってな感じで、選ばれる。
何か、幼稚園のお迎えみたいと思ったけれど、これは口に出してはいけない事だ。
そうなると次は二番隊。
そう、エースだ。
親父とマルコを立ててか、それとも興味がなかったのか、後ろにいたのは知っている。
「選べって言われてもな・・・」
面倒臭そうだ。
そりゃあ面白い海賊ではなく、非力な一般人のお世話だし。
エースの事だから、女性は選ばないたろうとも思った。
「やだよ、怖いよ」
ふと側から聞こえたのは、女性の最年長の春日部さんの声だった。
気付かれないように、視線だけ移すと、
「いや・・・だ」
口元を手で押さえ、震えていた。
「ミチさん」
思わず、彼女の名前を呼んでしまった。
「カヲルちゃん」
彼女の手が私の腕を掴んだ。
恐怖に震える彼女の心が、腕を通して伝わってくる。
私は思う。
『これが、普通の反応なのだ』と。
トリップして、好きなキャラがいて、喜んでた私とは全く違う。
この世界を知らないミチさんは、知らない世界に飛ばされた挙げ句、一人一人強面の海賊に拉致されると思っているのだ。
この後、何されるのか分からないだけに、そりゃパニックだろう。
「大丈夫、何もされませんから」
分かってるけど、私の口からでは信憑性がない。
どうすればいいのか、何をしてあげられるのか。
辺りを見回す。
よく見れば、女子に限らずみんな同じように青い顔をしていた。
そして、
「あの・・・二人ずつ、じゃダメですか?」
私は声にするしかなかった。
このままだと、決まってしまう。
そして、良くない方向に向かうかもしれないと思った。
出来たら、声だけで私の訴えを聞いてくれたらと願ったけれど、人の固まりはザザッと別れ、私の存在を露にするのだった。
さっきまで腕にくっついていたミチさんまでも離れる。
おいおい。
「今のは、お前さんか?」
「・・・はい」
マルコに話しかけられた。
嬉しくない。
ちょっと怖い、かも。
「一人ずつは、私達も不安かな・・・なんて」
本当はもう少し人数をあげたい。
でも、恐らく二人が一番怪しまれないはず。
一人も二人も変わらないだろうと、思ってほしい。
「まあ、いいよい」
許可された。
はやっ。
まあ、こんな風に。