キラキラの世界(テニプリ連載)@
□存在の意味
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朝は必ずやってくる。
目が覚めると、元の世界に戻っていた。
「・・・」
なんて都合良くはならなかったみたいだ。
今日一番最初に見たのは、私の部屋の天井。
あの染み、一人暮らしをしているアパートにはない。
「はあ・・・」
そろそろ非現実の方を、現実として受け止める決心をしなくてはいけないのかもしれない。
言葉では表す事は出来ないが、
「おはよ」
「おはよう!もう着替えたのか、早いね」
エプロン姿で朝から爽やかな笑顔を見せるニー。
そして、彼の言った通り、青学の制服に着替えて自室のドアを開けた私。
その姿こそが、決心。
ただ、この世界で生きていく為とかの重い物ではない。
昨日の帰り道、話すのさえも投げやりになっていた私に、ニーが言った一言。
「意味がない物はないよ。
それは、形のない過去や未来であっても」
漠然としすぎていて、その真意は分からなかったし、それ以上語らなかったから、好きに受け止めろと言うことなのだろう。
意味がある。
この、トリップに?
半信半疑ではあるが、見届けるのも面白いかもしれない。
私がこの世界で何を見付けるのか。
そう思ったら、制服の袖に腕を通す勇気が沸いてきた。
昨日の今日で、何が起こるのだろう。
いや、起こらないかもしれない。
あんな些細な出来事なんか、彼らの本編には関係がないはずだ。
「送っていこうか?」
「子供じゃないんだから、一人で行けるよ」
「子供だよ?義務教育の」
そうだった。
やり直し中学生。
授業面倒だな、なんてね。
「じゃあ、ちゃんと仕事して養って。
お父さん!」
「こんな大きな娘はいませんっ」
久し振りの楽しい朝食だった。