キラキラの世界(テニプリ連載)@
□河原の少年
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朝日が昇り、目の前の河原の水面がキラキラと光る。
私は土手に置かれていた木のベンチに腰をおろし、その風景を見ていたのだが、
「ハア・・・ハアッ・・・」
その綺麗な景色もいつの頃か、私の視界の片隅に入ってきた光景にかき消されていた。
荒い息使い。
私の物ではない。
さっきから、目がはなせなくなってしまった・・・少年の物だ。
彼は西から土手沿いに走ってきた。
その時には既に、大量の汗をかいていたから、かなりの距離を走ってきたのだと思う。
汗を拭くためにシャツを脱ぎ、上半身裸になってから、今度はその場で筋トレが始めた。
その引き締まった腹筋。
脚に付いた筋肉は、脚フェチの私には堪らないくらい。
こんなに真剣な自主トレを見たのは久しぶりだ。
もちろんサッカー部の子達で見たのではないので、かなり前の記憶。
そんなストイックなまでの彼を、邪魔してはいけない事は百も承知なのだが、私はこの場から動けないでいる。
目に焼き付けておきたいくらいの、格好いい光景、と言うことが一つ目の理由。
そして、疲れたから休んでいる、と言うことが二つ目の理由。
五次会まで参加し、終電がなくなるどころか、始発に乗れそうな時間になってようやく解散した私たち。
そして、三つ目の理由。
迷子。