キラキラの世界(テニプリ連載)A

□新生青学テニス部
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暑くて、熱い夏休みが終わり、面倒だけど、また二学期が始まった。
たまっていた宿題を、死に物狂いでやっつけた私。
人生って、同じことの繰り返しなんだね。

「さてと、帰ろっと」

ちらりと見たのは、隣からいなくなった人の背中。
そう、一学期私の隣の席だった手塚の背中だ。
相変わらず、ピンとまっすぐ油断など微塵もない。

ついに席替えを行い、廊下側の一番前になった手塚と、窓側の一番後ろになった私。
今度はクラスで一番遠い関係になったわけだ。

既に引退式を終えたテニス部。
海堂率いる新生青学は、もう次の目標に向かって進みだしている。

手塚の背中。
全国制覇した嬉しさと、引退してしまった寂しさ。
両方の想いを感じるなんて言ったら、考えすぎと言われるだろう。

それでも、手塚は生徒会長。
やることはまだまだあるようだ。
暇すぎて家に帰ろうと、口に出さないと立ち上がれない私とは次元が違う。

「・・・っす」

下駄箱で目があったのは、ヤル気満々で部活に向かう海堂だった。
私にはその違いが分かる。

小さく頭を下げる、礼儀正しいツンデレ部長。
並んで少しだけ歩く。
そして、

「新しいマネージャー見つかった?」

気になっていた話題を振る。
言葉通り、そのまんま。
手塚の次は海堂のように、私の後釜を現在絶賛募集中なのだ。

「・・・まだっす。
つっか、別にいらねえ・・・」

もごもごと、最後の方はよく聞き取れなかった。
けれど、実は知っている。
後輩たちが、乗り気ではないことを。

「まあ、私がいなくなったところで、何も変わらないだろうけど」

元々マネージャーはいなかったわけだし、別にそれでもいい気がしてきた。
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