キラキラの世界(テニプリ連載)A

□コケシと柳
1ページ/4ページ

「珍しいところで会うな、築山」

「・・・柳」

今はあんまり会いたくない人の、一人に遭遇してしまった。
心の中まで覗かれそうなデータマン。
立海の柳蓮二だ。

部室から闇雲にただ走り、ナイスタイミングで来たバスに飛び乗ったのはいいけれど、行き先の違うバスだったのは後の祭り。

ある意味、誰も追っては来れない目眩ましになってしまった。
まあ、そんなことはしないだろうけど。

知らない景色。
降りたのは、随分と青学から離れてからだった。

家にもすぐに帰る気分になれなくて、近くにあったショッピングモールに入ろうとした時にバッタリと出会した。

相変わらずの糸目で、見えていなさそうなのに、よくもまあ私ごときに気付いたものだ。

「ホント奇遇だね。
じゃ、またね〜」

手を軽く振って、すれ違う。
たんなる顔見知りの他校の生徒。
普通こんなもんだろう。

「待て」

あえなく捕獲。
これじゃダメなのか?

「その怪我はどうした?・・・そのコケシは・・・何だ?」

彼の興味をそそるアイテムを、私は二つも所持していたようだ。
って言うか、乾といいデータマンってどうでもいいことに食い付きすぎ。

「頭ぶっただけ。
コケシは・・・う・・・コケシは」

思い付かない。

すっかり気にもならなくなっていたのは、手にずっと握られたままのコケシ。
確かに私、怪しいかも。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ