白と青と、そして赤。

□三角定規を胸に
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「マルコ隊長とイゾウ隊長は、『カヲルさんが出来ないから』私に頼みたいって事ですよね?」

大滝さんさんのグサリと来る一言。
一言一句間違っていないお陰で、余計に鋭く刺さる。

「少し違うな。
『お前が出来るなら』頼みたい。
それが重要だと俺は思う」

イゾウが、細かく訂正した。
言葉の違いなだけなんだけど、その意味は大きい。
大滝さんの表情が、少し柔らかくなる。


「・・・私は出来ます。
いいですよ、やります!」

「頼むよい」

マルコがそう言うと、

「・・・はい」

大滝さんが一瞬ビックリして、そして目が泳いだと思ったら、とても小さな声で可愛く返事した。
その仕草に、私でさえキュンとしかけたじゃないか。

彼女がマルコにそんな態度を取ったのを、初めて見た気がする。
変な頭には興味がないとか言ってのに。

そうでしょ。
格好いいでしょ。
髪型込みで、全部格好良いんだよ。

「カヲルさん。
他のメンバーにも、声かけていいですか?」

何故か、私に問う。
自分が頼りにされた事を、みんなに言いたいのだと思う。

「勿論です」

反論するわけがない。
もうこれは、能力のある人の仕事なのだから。

私が出来なくて、大滝さんが出来る。
それを隠す必要もないし、大滝さんがアピールするのは当然だし、するべきだと思う。

常々、こんな私が正社員の憤りもあるだろう。
こう言う実力の世界の方が、正直私もすっきりする。

こうして、私は製図室を後にした。
もう戻ってくる事はないだろう。
不思議と嫌ではなかった。

「イゾウ、訓練と言っても、どうするんだ?」

マルコとイゾウと一緒に歩く。
二人は私の教育方針について、話し合い中と言ったところ。

「身体能力は申し分ないからな。
正直、見切るだけなら、こいつらは海賊以上かもな」

二人で私を見るから、焦った。
まるで、昨日のジャブラの攻撃を避けたのがバレたのかと。

「で、カヲル。
お前、武器は何持ちたい?」

今日の昼何食べるぐらいに、サラッと聞いてくる。

「う、うーん・・・」

考えて、考えた。
呑気に言ってるけど、逆に深読みしすぎて答え難い。

「・・・」

即答は出来なかった。
難しい選択なのだと、思い知らされる。

「よし、分かった!
最初の訓練は、己の武器を調達してくる事だ」

イゾウが口を開く方が早かった。

「調達・・・ですか?」

「そうだ。
それがなければ、先には進められねえ」

「え・・・」

そう言うものなのだろうか。
日々、鍛錬こそが強くなる道だと思っていたのに。

スタイルから入らなきゃ、戦闘員は目指せないのだろか。
個性強すぎ白ひげ海賊団か。

「金の事は気にしなくて良い。
これだと言うものを見つけたら、買ってやるよ」

太っ腹。
そう言うとこじゃなくて良いんだけど。
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