白と青と、そして赤。

□私に分かること
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「八木さん、ヤバくないですか?」

私は今、洗濯物を干している。
下着は部屋の中だけれど、それ以外は外の方が何倍も早く乾く。

そして、その前後脈絡のない台詞は、一緒に作業していた春田ちゃんのものだ。
ニコニコ笑顔で、上機嫌といった感じではある。

「ハハハ・・・確かにね」

突然であったとしても、私には通じる。
ここに来る時に見た光景を指しているのだと、想像がついているから。

「あの人、本当に海賊になっちゃうんじゃないですかね?」

八木が3番隊で、組手稽古しているのを見かけたのだ。
持ち前の運動神経と、補正のスピード力を生かし、様になっているから、こんな言葉も出てしまう。

「他の男共だって、結局いろいろ参加してるし」

彼女の言う通り、八木だけでなく男性陣はそんな感じ。
やる事ないのと、それが出来てしまう状況にあるから、仕方ないとも言う。

「春田ちゃんとこの隊長は、何か言ってこないの?」

八木のところは、サッチがノリノリで訓練に参加させていると言う噂を聞いた。
彼女は、ハルタ率いる12番隊所属。
春田ちゃんがハルタつくのだから、ちょっと笑える。

「あの人は、過保護ですから。
女子にはそんなことさせませんよ。
特にミチさんには懐いてて、見た目親子のようですし」

過保護と言うフレーズには、乾いた笑いが出るしかない。
それにしても、ハルタに懐かれるなんて、羨ましすぎる。

「ビスタ隊長なんて、女子限定のティータイム開催してるそうですよ」

「あそこは、岩波さんと須田さんだったね。
いいなー」

「カヲルさんだって、イゾウ隊長に大切にされてるじゃないですかー」

「た、大切って・・・」

彼氏じゃないんだから、その表現はどうかと思う。

「それに、隊の垣根越えて構われてるのって、カヲルさんだけですよね」

「構われてるって、言い方!言い方!」

きっとマルコやエース、親父を指しているのだろう。
大体マルコは怪我を診て貰っただけだし、エースだってサボの件で少し話しただけだ。

親父は・・・、実はあれから結構会いに行く。
でもさ、みんな誘っても来てくんないから、一人で行くしかないんだよ。

まあ、ナースもいるけど。
お陰で、ナース達とは結構仲良くなった。

「ハルーッ!」

洗濯場の下から声がした。
春田ちゃんがはーいと返事をするから、彼女の名前を呼んでいるようだ。

誰なのかと覗いてみると、

「・・・ハルタ隊長!
お、お疲れ様ですっ」

小さな王子様が立っていて、予想してなかった分、物凄いビックリした。
生ハルタ、可愛すぎるんですけど。
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