白と青と、そして赤。

□小さな島の大きな出会い
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島に着いた。
と言うか、わざわざ着けてくれたが正解だ。

私達の着替えや生活必需品を買い揃えてくれるのだ。
男性はともかく、女子は物入りだとナースが言ってくれたらしい。
ま、ナースの下着とか、サイズが合わなくて貰えなかったのが本当の理由。

この世界での、初めての島に行く。
聞いたこともないし、見る限り普通の感じ。
でも、何かワクワクする。

モビーは大きいので、小さな島の港には入れなかった。
小舟で1隊ずつジミに入港する。

私達の為とは言いつつも、みんな降りちゃうあたり、陸を楽しみにしているようだ。
大所帯だから、島に泊まれる人数は限られている。

「早くやることやっちまわねえとなー」

クルー達がウキウキで上陸した時に、大体こう言って、急いである場所へと向かう。

それには、

「みんなバーゲン狙いとか?
何か目的があるみたいですけど」

大滝さんがヒルティに質問していた。

「あ?・・・ああ、そうなんじゃねえ?」

しどろもどろで返す。
その動揺が分かりやすくて、私には何処へ行ったのかピンと来ていた。

「ヒルティも行ってきなよ。
時間ないんだから」

「は?
何言って・・・いや、俺は別にバーゲンには興味ねえし」

「ふーん、じゃあ私がそのバーゲンとやらに連れてってもらおうかな」

「バ、バーゲンは男物しか取り扱ってねえんだよっ!」

「・・・」

「・・・っ」

嘘のつけないヒルティ。
私がからかったことに気付いたのか、若干顔を赤くしていた。

でも、冗談半分で、そこには真面目な話、本心も入っているのだ。
男所帯の海賊が、長く陸を離れているのだから、別に理解はしてるつもりだ。

「ごめん。
早く買い物終わらせるから、待ってて」

分かってるとばかりに、背中を叩く。
こう言うのは、サバサバしないと、お互いが気不味い。

「大滝さん!
早く済ませて、宿に入ろうよ」

ヒルティが否定するのも無視し、大滝さんを引っ張って、ショッピングに繰り出す。

「さっきのって、そう言う店の話でしょ?」

横に並んだ大滝さんは、ヒルティが少し離れたのを確認すると、さっきより低い声でそう言った。

「・・・多分」

この人も分かっていたのか。
やっぱ怖い。

「ふーん。
そっか、女に興味ないのかと思ってたから、ちょっと安心」

「・・・」

無理無理。
私が会話、無理。
けれど、その手は私を離さない。

「別に商売女じゃなくても、いいって事よね?」

「・・・」

知らんがな。
私に聞くなよ。

そして、

「エース隊長、泊まり組かな?」

「・・・」

エース狙いか!
分からんでもないが、やっぱ分からん。
すごいな、その強気。
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