白と青と、そして赤。

□トリップ補正
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お昼になって、食堂に行くと、同僚達が固まって昼食をとっていた。
みんな会社の制服から、何かしら服装が変わっていた。

「サイモンさん」

「サイモン」

後輩の春田ちゃん(女性)と同期の八木の近くに行き、

「どうだった?」

と聞いてみると、彼らだけでなく周りも、心配して損したとばかりに笑ってくれた。
それでも、

「一人じゃなかったから。
ありがとね」

と言ってくれた。

「カヲル、行くゾー」

「はい!
じゃ、また夜ね」

同じ16番隊のヒルティが呼ぶ。
イゾウに私達の世話を頼まれた彼は、副隊長のようなもの。

私から言わせればモブだけれど、イケメンで若くてモテるタイプのキャラだ。
隠れキャラとして、原作で探してほしい。

「ヒルティさんっ」

「あ、あんまくっつくな、オオタキ!」

大滝さんのボディタッチに汗だくなヒルティ。
私にすがるような視線は、

「無視かよっ!」

と、切れのある突っ込みを入れられる人なのだ。
こう言う人は、苦労人タイプだと思う。

「お前達に何かあったら、俺があの人に殺されるんだからな」

「大袈裟だな」

「大袈裟じゃねえし!
お前はあの人の怖さを知らねえから、呑気なこと言えるんだよ」

「怖さね・・・」

知らないけど、想像はつく気がする。
あれ、絶対怒らせたらヤバいタイプだ。

「俺達、午後から訓練だから、ゆっくり食っていいからな」

「訓練?」

「ああ、たまにやるんたよ。
隊毎に統一訓練」

「へえ、意外。
軍隊みたいな事、しないかと思った」

細かいことは漫画には記載されない。
新鮮さに、オタク心は興味津々だ。

「基本、戦いは自由だよ。
ただ、烏合の衆にならないように、たまに動きを確認し合うんだ」

「それ、見に行ってもいい?」

ぜひ、行きたい。
参加はできないけど、目には焼き付けたい。
本当は写真に残したいくらいの気持ちです。

「見たいのか?」

「うん、見たい!
ヒルティの戦うとこも見たい!」

「そ、そうか?」

「ヒルティ、強いんでしょ?」

「ま、まあ、そこそこはな。
何たって、イゾウ隊長の背中を守るのはこの俺だし」

私たちはダッシュで、お昼を口に突っ込むのだった。

「私は・・・」

大滝さんは、興味はないらしい。

「ねえ、あそこにいるのって、何て言う隊長?」

「ああ、あれはエース隊長だ」

「エース・・・隊長ね。
話しかけてみようかな」

「・・・頼むから、マジで騒ぎ起こすなよ」

青褪めるヒルティの肩をポンと叩き、私は行こうと促した。
もはや、彼女を止める術はない。

「・・・」

ちーん。
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