白と青と、そして赤。

□いきなり始まる!
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こんなことが、起こるだなんて。
ワンピースの世界に、トリップしてしまった。

しかも、

「全部で、16名か」

集団トリップ。
そして、

「まあ、グランドラインはいろんな事が起きる。
俺の船に現れたのも何かの縁だ。
乗せてやらァ!
グララララァッ!!」

大きな体に、どでかい器。
それに特徴的な笑い方。
白ひげこと、エドワード・ニューゲード。
つまりは、親父。

やばい、泣けそう。
元の世界のジャンプでは、数年前に死んでしまったその人が、私の視線の先で笑っている。

私は、ワンピースが好きだ。
更には、『親父』って思っちゃうくらい、白ひげ海賊団が好きだ。

私のための、トリップなのだろうか。
数ある海賊船の中で、モビー・ディックを選び、親父が生存する時代に舞い降りるなんて。

けれど、

「あり得ない!」

「ドッキリじゃない?」

先ほど、集団トリップと言った。
それが友達同士なら、割かしすんなり受け入れたかもしれない。
同じ穴の狢的に。

「理論的に無理だから」

「誰か説明して!」

受け入れない面々。
これが、正しい反応なのかもしれない。

ワンピースの世界だ、わーい。
そんな簡単にトリップだと確信したのは、私がオタクだからだろう。

老若男女の16人。
考え方もパラバラで、家族構成とか趣味とか、そんなことは知らない。

知ってるのは、顔と名前と、仕事上の立場くらい。

「部長・・・どうしましょう」

「私の一存では、判断しかねるよ」

私達は、同じ職場の仲間なのだ。
たった今まで、仕事をしていたはずなんだけど、気が付いたらここにいた。
何でなのか、分からない。

仮に、ワンピースの世界でなかったとしても、理屈的に無理なことばかり。
見渡す景色は、空と海と太陽。
陸ひとつ見えない船の上に、どうやって来れたのか。

『ってなことで、トリップだな』

私は受け入れた。
簡単に。
考えるより、感じろ。

だってさ、コスプレだけでは真似できない物ってあるから。
あんなにそっくりな親父がいる?
こんなに大きなセット、何費で作るの?

「親父、いいのかよい」

その言葉に、心臓がドクンと動いた。
ついに、その声を聞くことになる。

「何だ、マルコ。
いつからそんなに慎重になりやがった」

・・・マルコ。
マルコなのだ。

一番隊隊長、不死鳥のマルコが、喋っている。
トリップ万歳!!

私は、彼が大好きだ。



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