白と青と、そして赤。

□海が繋げる想い
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「よくも、リアンダをっ!!」

空を駆け抜ける。
きっと飛んでいるように見えるだろう。

それくらいに、速く。
全ては、あいつに追いつく為。

「何処にいるっ!!」

私の心は、怒りで爆発寸前だ。
見つけたら、手にした脇差を突き立てる。
そんな思いで、空から海を探す。

「出てこいっ!!卑怯者!!」

昨日のオークションでは、見かけなかった。
お金を出すつもりは、さらさらないのだろう。

それでも、奴は奪う。
分かっていたのに。

「ティーーーチッ!!」

許せない。
ふざけるな。
コロシテヤル。

「!!!」

空中で、背中に衝撃。
同時に、体をギュッと締められる。

「誰だ!」

奴ならば、殺す。
ここで、絶対に。

「うっ!」

更に力が入った事で、腕に痛みが走った。

「落ち着けよい。
何してやがる!」

マルコの声が頭上から降りそそぎ、そして羽ばたき音もした。
よく見れば、締め付けているのは、鳥の爪。
私はマルコの足に、捕まっていた。

「マルコ!
離して!!」

くるりとモビーに帰ろうとする。

「いやだ!帰らない!
絶対に逃がさない!」

落としてもいいからと、もがけばもがくほど、その爪は食い込むのだ。

「もう・・・いないよい。
もう、いないんだ」

それはティーチの事だと思う。
でも、リアンダの事を告げられているようにも思えて、

「やだ・・・よ」

聞きたくなかった。

「ふっ・・・・」

涙が溢れる。
もはや、抵抗出来る力なんかなかった。
ボトボトと頬を伝い、涙が海に落ちていく。

「くふっ・・・うっ・・うっ」

この世界で泣くつもりはなかったのに。
後から後から、大粒でおしよせる。

そして、モビーに着く頃には、全身の水分が抜け出て、私は雑巾のように、不死鳥に連れられていた。

モビーのデッキは、イゾウが一人立っているのが腫れた目でも分かる。
リアンダとサッチのいた場所には、もう何も残っていない。

「馬鹿野郎が・・・」

マルコの足からやっと解放されて、イゾウの前にフワリと落とされた。
言葉とは反対に、優しく受け止められる。

「イゾウ隊長」

私はすがるように、その首に抱き付いた。
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