キラキラの世界(テニプリ連載)@


□ヒロシです
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「きっと向こうで、焼けた肌の元気な可愛い女の子と知り合っているよ」

ドロボウの兄ちゃんとか言われたりして、意外に楽しんでいるんだ。
あんな小さな子まで虜にするたあ、なんて罪な奴だ。

「なんだ、やきもちか?
寂しいのは、築山みたいだな」

「・・・はいーーー??
そう意味じゃないっつうの!」

思いっきり否定してみたが、楽しそうに笑っている橘。
女の子の話は、私の妄想じゃなくて、本当の事なんですけど〜!
橘の方が、妄想気味だ。

「た、橘は夏休みに九州に帰ったりしないの?」

仕方ない、話を変えねば。

「大会があるからな。
両親と杏は、お盆休みに帰省するとは言っていたが・・・」

どことなく、寂しそうな顔。
あまり彼の過去については、知らない。
誰かに怪我をさせたとかじゃなかったっけ。
聞くわけにはいかないけど、なんとなく気になる。

いかん、また話を変えよう。

「そう言えば橘ってさ、昔金髪ロン毛じゃなかった?」

「よ、よく知ってるな?」

「九州の二翼と言えば、有名人でしょ!」

なんて、適当に誤魔化す度胸が、最近ついてきた私。

「自由な学校だったの?
それとも、グレてたの?」

しかも、どうでもいいことに、興味があったりする。

「・・・お洒落だと言ってくれ」

恥ずかしそうに笑う橘。
ちょっと可愛いかも。

「あの髪型、似合ってたよね。
ワイルドで格好良くて、好きだったけど」

「・・・」

無言で歩き出す橘。
調子に乗りすぎたなかな。

数歩歩いて、ピタリと立ち止まる。
そして、振り返り、

「ぬしゃあ、むぞかね」

頬を少しだけ赤くしながらそう言って、チームメイトの元に戻っていった。

「今なんて・・・言った?」

意味が全く分からない。
その熊本弁は、ニュアンスさえ読み取れなかった。

「じんな、なんばしょっと?」

後ろに立つ大きな影。
青学のもう一つの柱、乾だ。

「ただの世間話だけど?」

首を傾げる。
と、同時に乾の口許がニヤリと上に上がった。

「お前は可愛いな」

「・・・は?
な、何言ってんの??」

突然の言葉に動揺すると、

「さっきの橘の熊本弁だよ」

そう教えてくれた。
って、お陰で動揺は更に倍率ドン!

「せ、せからしかったい!」
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