キラキラの世界(テニプリ連載)@


□少年ア○ベ
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「って、誰がバカ女だ!」

自分の世界に入りながら、話していた跡部にチョップを落とす。

「いてーな!
お前しか、バカ女はいねーだろうが!」

「アホべに言われたくないっつうの!」

「誰が、アホべだ!」

醜い、言い合い。
折角の良い話も台無しだ。

「悪かった・・・」

しかし、先に折れたのはアホ・・跡部の方だった。
何だか、調子が狂う。

跡部が私を呼んだのは、本当にお礼だったのだろうか。
その後は、豪華なランチをご馳走になるまで、特にそれらしい話題はなかった。

「何これ、可愛い!」

階段を歩いていると、その壁に掛けられた一枚の写真に目が止まる。

「・・・これは、イギリスにいた頃のだな」

後ろから覗きこんだ跡部の顔が、若干近すぎて焦ったけど、

「小さい時から、俺様な顔だね」

「うるせーよ」

その写真の少年アトベに、思わず見いってしまった。

セピアの一枚の絵のような写真。
お洒落な外国の街並みをバックに、まだ小さな景吾お坊っちゃまが、横を向いて何かを見つめている。

相変わらず綺麗な横顔。
そして、真っ直ぐな瞳。

「何を見てるの?」

その視線の先が、何となく知りたくなって聞いてみれば、

「さあな」

案の定、素っ気ない答えだ。

「ふーん、イギリスに住んでたんだ」

「ああ」

「楽しかった?」

「別に。
何処だろうと、変わらねーよ」

これだから庶民はと言われる。
これだから、金持ちは・・・。
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