キラキラの世界(テニプリ連載)@


□油断大敵
1ページ/4ページ

今日から夏休み。
部活はいつも以上にあるけれど、授業がないだけでも幸せと言える。
通信簿の虚しさが、それを物語る。

1ヶ月以上もの長期連休。
まさか、また体験出来るなんて。

「あ〜あっ、な〜つやすみぃ〜!」

鼻唄混じる、河原道。
朝から青学に向かって、自転車をこぐ。
ニーが用意してくれたそれで、夏休みの移動も快適だ。

そう言えば、昨日の終業式。
生徒会からとして、夏休みの心がけを、生徒達に伝えるコーナー。
本来なら、生徒会長たる手塚の役割であり、それを楽しみにする女子も少なくない。

「九州の会長から、みなさんに伝言です」

副会長が代理で舞台に立ち、そう言った瞬間黄色い歓声が上がった。
恐るべし手塚人気。

小難しく且つお堅い言葉が伝えられ、最後に、

「有意義な夏休みを各自、油断せずに過ごして下さい」

と締めた。

油断しない夏休みって、何なんだろう。
って言うか、休みの時くらい油断させてやれよ。

九州で一人何をしているんだろう。
いや、リハビリなの分かっている。

「・・・」

時間単位で刻まれたスケジュールを、黙々とこなす手塚が想像出来た。

油断とまでは言わないけど、少しくらい、

「夏休みだ、わ〜い!
だらだらして行こう!」

何て返事が来るか、試しに手塚にメール送信してみた。
怖いもの知らずなのは、きっと夏のギラギラした日射しのせいに違いない。

「ここでいいのかな?」

自転車置き場の適当な場所に、乗ってきた自転車を停める。
確か夏休み中は、学年別とか関係なく置いて良かったはずだ。

「あ!」

わいわいと数人が私と同じ様に、自転車置き場に停めている。
そこまでは良かったが、私を見るなりその一人が短い驚きを口にした。

思わず、ここには停めてはいけなかったのだうかと、動揺する小心者の私。

しかし、それは勘違いだったと知る。
私を何故かじっと睨む三人。

そして、

「言っちゃおうよ」

小さい声が聞こえた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ