キラキラの世界(テニプリ連載)@


□不二の懸念
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「ねえねえ、マネージャー!」

教室の私の席は、廊下側の壁沿い。
そして、一番後ろ。
この席の魅力は、朝練で遅くなっても、後ろのドアからスッと席に着くことが出来ること。
その際、隣の優等生に睨まれても負けない心が必要だけど。

その席に座る私に、廊下からの声。
振り返ると、知らない顔。

「香山さんなら、窓際の席だよ。
勝手に入っていいよ」

このクラスには、マネージャーが二人。
テニス部の私と、サッカー同好会の香山美緒さんだ。

「間違ってないって。
ねえねえ、マネージャー!」

「・・・なら、余計に呼ばれる筋合いはないけど?」

全学年通して考えてみても、テニス部ではない顔。
じっと見ていると、

「辞書、貸して!」

なんのことはない、そう告げた。

「俺、不二や菊丸と同じ六組だから、安心して」

それがどんな安心に繋がるのか、全く理解出来ない。
普通に借りてくれればいいものを、面倒な奴だ。

「ありがと!マネージャー!」

違うクラスだから、名前を知らないのは当たり前。
その代わり、顔は割れていると言ったところか。
それでも、関係ない人に呼ばれるのって、割りと不愉快だと知る。

「何?」

「いや」

一部始終を見ていた手塚。
何か言いたそうな顔をしているが、敢えてこれ以上は触れない。

「ミハル!」

またも廊下からの声。
この席、意外と忙しい。

「不二か」

手塚が代わりに応えると、何がおかしいのか不二が笑う。

「英語の辞書、貸してくれない?
大石もタカさんも持ってなくて」
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