恋愛教室
□雨
2ページ/5ページ
なんだと聞こうと口を開いた瞬間、「先帰っていいぜ。」と窓を眺めながら青峰は呟いた。
窓の向こうの雨は音を大きくしていき、存在を訴えているように感じる。
その真下には、水溜まりが目立つグラウンドが広がり、サッカーゴールがしんとそこに立っていた。
そんな景色を見つめながら、プリントに取りくまない青峰は、どこか傍にいたくなる母性本能を感じてしまい、赤司は「…それは?」
と口にしていた。
青峰は「詩の宿題。」と少し声を上げて赤司に返した。
「そうか。書けないのか?」
「書けねぇ。」
「…終わるまで待ってるよ。」
「…なんでだよ?」
意外な言葉が返ってきて、赤司は青峰の前の席の椅子を引くのをためらい、青峰を直視した。
「そうしたいからだ。」
「…そうしたい理由を聞いてんだよ。」
怪訝な顔をしながら、青峰はまた窓に視線を逃がす。
そうしたい理由。
決まっている。
こいつはそれに気づかないのか?
気づかないのなら言葉にしなければならないじゃないか。
「理由なんて決まっているだろ?」
緊張したからか、怒っているような声を出してしまい、今更後悔した赤司だったが、目の前の青峰を見てその不安は一気に消え去った。
「それって、そーゆことだろ!」
青峰はそんな陽気なことを喋ったのだから。
ホッと安堵した赤司の頬は緩み、青峰に笑いかけていた。
「俺、バスケより赤司が好きだ。」