新撰組読み物
□快晴
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「出動中はどの隊だろう。」
張り出してある勤務表を見に行くと、縁側にあぐらをかいて斎藤一が刀の手入れをしていた。
「斎藤さんは非番ですか?」
「おや、坊や。歩き回ってて大丈夫なのかい?土方の旦那に知れたら大目玉だろう?」
「いやですねぇ。散歩くらい許してくださいよ。じゃないと暇で、布団の中で溶けてしまいそうだ。」
総司がうんざりと顔をしかめると、斎藤はソレを見上げて声を立てて笑った。
斎藤は、あまり感情の起伏がなく飄々としているため、たまに見せる笑顔が妙に可愛い。
「一番隊は出動ですか?」
言いながら勤務表を振り返ると、市中見回りの出動は永倉と原田の隊だった。斎藤は、丁寧に粉を打った刀を日にかざして言う。
「一番隊は道場だね。」
「道場か。ありがとう、斎藤さん。」
何かを言い掛けた斎藤の横を、総司はバタバタと走り抜けて行った。
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