新撰組読み物
□斜陽
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「あぁ!止まれ止まれ!」
近藤が大砲の進路に飛び出して両手を大きく振ると、四人は、目前の近藤と境内の土方を交互に振り返って互いに顔を見合わせた。
総督の局長と怒られると恐い副長、どちらに対応すべきか困っている。
近藤は砂利庭の大砲の前から境内の上がり口にいる土方に向けて声を上げた。
「俺は許さんぞ、土方!」
土方は、チッと舌打ちして踵を返し、黙して副長室に入って行ってしまった。
近藤に、戻れ戻れ、と指示をされて、また少年達がえっちらおっちら大砲を押して蔵へ戻っていく後ろ姿を見ながら、付き合いの長い沖田は、あぁ毒気を抜かれたのか、と妙に土方を可愛く、微笑ましく感じた。
武器蔵が完全に締まり、少年達が三々五々散っていく。
すっかり崩れてしまった隊列を直しながら、市内報告の時に土方をどうからかおうか考え、くすっと沖田は密かに笑った。
☆僕の大好きな月真院砲撃未遂事件でした(笑)