新撰組読み物

□快晴
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 屯所の一室の障子が、音もなくゆっくりと開いた。
まだ日は高く、道場からは隊士達の稽古の声が響いている。

開いた障子戸の隙間から顔だけ出して、沖田総司は子リスのようにキョロキョロと辺りを見渡した。

近くに近藤も土方もいない。よし、今だ。

沖田は黒い着流し姿のまま足早に部屋を出る。
退屈で堪らないのだ。
池田屋で一度喀血して倒れて以来、少し血痰が出ただけで土方は沖田を布団に押し込んでおこうと必死になる。今だって、先だって職務中に少し血を吐いたくらいで三日も暇を取らされてしまい、暇を潰すのに苦労をしていた。

「散歩くらい…ね。」

呟くと、小さく咳が出る。
見上げた空は真っ青で、今すぐ外に出て近所の子供と遊びたいくらいだが、本当にやったらたぶん、えらく土方に怒られるからやめておいた。


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