短編

□頭装備
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突然だが集会場でひと狩り終えてきました。

ティガレックスを愛するあまり今回も 可愛過ぎてつい殺しちゃった みたいな感覚でした。
報酬を貰い、私は集会場からキャラバンまで一目散に駆け出した

この狩りから帰宅したらバルバレを立つ予定だったため、キャラバンの身支度は既に終了していた。


船の前ではお嬢と加工屋の娘が お喋りをしつつ私の帰りを待っていた。
動く度に鳴るカシャカシャと装備がぶつかり合う音が聞こえたのか、二人は会話をやめてこちらを向いた

「ただいまっ!!」
足を止めて投げかければ、二人も元気におかえりなさいという言葉をくれた

そのまま3人で船へと乗り込めば、オトモたちが私の到着を知らせてくると操舵室へ向かった

「…あ 二人ともハイこれお土産」

甲板に座り込み、私は背負っていた轟竜の頭殻と尻尾を でんっ と前に出した。
すぐに加工できるよう手が加えられていたため、血肉も無く美しく研磨されていたのでこのまま置物としても使えそうだ

「キャーッ!すごいすごい」
「まあなんて立派な…!良いんですか ハンターさん!!」
二人はフンフンと大はしゃぎした後、どちらがどちらを貰うか真剣な議論を交わしていた。

私は加工担当に会うべく 二人の声を背にし、船内へ入った。

「お帰りなさいニャー!」
「ボク今日はたくさん特訓したから、明日は休憩がいいニャ」
「旦那さん旦那さん!ボクさっきレベル上がったニャ!!褒めてくれるかニャ?」
「今日はボクたちにお土産ないのニャ?」

入ってすぐ、愛しのレギュラーオトモ達の出迎えを受けた。
さて腕装備を外しモフモフナデナデしまくるという癒しの時間だ。

「おーよしよしよしただいまーっうおおモフモフ今日も身だしなみバッチシだねーいいこいいこー」
「そうニャろそうニャろ?フフン、旦那さんを癒してあげられるように今日も身繕いは完璧ニャ クールだニャ」
「そうだねークール!
 あーそうだったねいいよみんなの士気もボチボチ下がってきたししばらくはみんな休憩にしようかー!!」
「さすが旦那さん!わかってるニャア」
「でへへ
 レベルアップだってぇ!?やったじゃんよくやったね褒めるよ褒めるよーーッ」
「ありがとニャ ボクもっと頑張るニャ!」
「目指せレベル20!期待してるよー
 あとごめん今回はお土産無いんだ。あ、ハチミツいる?」
「いらんニャ。ソレまだボックスにいっぱいあるニャ」
オトモ達を撫でながら言葉を返していると、ふと船が浮かび上がる感覚がした。

そこでようやく私はハッと我に返った。

オトモ達と過ごしているとつい時間を忘れてしまう。
腕装備をオトモ達に持たせたまま、他の荷物持ちを頼んだ。



「加工担当さぁーん」
加工担当の部屋にノック無しで入れば、彼は1人机に向かっていた。新しい装備の設計図だろうか。

私の声を聞くと彼は手を止め、布の敷かれた床に置いてあったものを取ってこちらの方まで歩いてきた。

「待っていた……ジンオウSアーム…だな……いつも通り…鎧玉で…強化して…ある…」
「わぁい!かっこいい!!」
加工担当に頼んでおいた装備だ。

先日シナト村の少年から貰った依頼で狩ったジンオウガから剥ぎ取った素材でできたものである。

青白い光が美しい。
受け取って早速装備してみれば何となく防御が上がった実感が沸く。
私は加工担当の腕にお礼と称して抱き付いた。

「ありがとうー!ありがとありがとありがとーーーーっ!!」
「…………気に入った…ようだな」

最初のときこそ驚かれたが 今ではもう慣れたものだ。


うーん いい腕。

ハンターとしても充分やっていけそうなほどの、丸太のように太い腕。
まあ 筋肉の種類違うから武器振り回すのには適してないんだろうけど
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