Love which begins from a mistake.

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4.




少し前の話、
俺がまだ聖帝だった頃だ。

「豪炎寺さん」

と呼ばれ振り返ったら、バサッと紙の束を渡された。

「虎丸、なんだこれは」

と聞いたら

「履歴書です。ちゃんと目を通しておいてくださいよ。」

と言われ、
俺は履歴書を見ながら、もうそんな時期かと呟いたら、一向に返事が返ってこず、あれ、と思って顔をあげたら、もう虎丸はすでにいなくなっていた。
俺が今、素で話せるのはお前と夕香くらいしかいないのに畜生

と、愚痴っていたら、俺はひとりで何してるんだ、と気づきまた履歴書に目を通し始めた。

「(あれ、これは…)」
履歴書に目を通していたら懐かしい名前を見つけた。

「みょうじ、なまえ…」
まだ木戸川にいた頃、
俺は彼女に淡い恋心を抱いていた。

いつも無邪気に笑ってるのを見て、それにどこかいつもこそばゆさを感じていた。
それが恋だと気づいたのは俺が雷門に転向してからで、それにひどく後悔した記憶がある。

「(懐かしいな…)」
また彼女に会いたい、が、彼女は今の俺を見たらどう思うか、絶望するだろうか、気付かないか、それとも、
俺のことを忘れてしまっているだろうか…



面接する前に何考えてるんだ俺は、と思いながらも、
彼女は合格だな、
と俺はつぶやいた





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