Love which begins from a mistake.

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3.



何を隠そう私は日本代表のさらに豪炎寺修也のファンで、笑われたとしても嬉しすぎたまらないわけで、
イケメンすぎやしませんか豪炎寺さあああん!!!

と興奮しながら、私は豪炎寺さんの笑顔をみたとき、ふ、となぜか前の上司だった彼のことを思い出していた。
前から思っていたが、豪炎寺さんは彼と似ている気がする。


私が密かに恋心を抱いてたフィフスセクターの聖帝、イシドシュウジと―――。





実は私は少し前までフィフスセクターで働いていた。
だがフィフスセクターはなくなってしまったので私は今では普通のOLとして働いている。

フィフスセクターは職場としては人気だったらしく、私はだめ元で受けてみたらなんと受かってしまって、
後にその時にいた面接官の方に、「みょうじさんは聖帝に推薦されたんだ。」と聞いて、どういうことか、と聖帝に聞きに行ったことがある。

今思えばなんて無礼なことをしてしまったと思うが、
まあ今はそれは置いておこう。
確かその時は適当にごまかされて終わってしまった。

そしてなぜかその事のあとに、私は聖帝とよく話すようになってしまい、いつのまにか私は聖帝を好きになってしまっていた。

聖帝の雰囲気が豪炎寺さんと似ていたからかどうか定かではないが、
おそらく私は聖帝本人を好きだったんだと思う。

叶わない恋だとわかってたから告白はしなかったが、
聖帝はいつも無茶して、何かに耐えている。

だからたまに見せる彼の辛そうな顔を見ると胸が痛くなってしまい、
彼を支えたい、もっと彼のことを知りたい!

なんて馬鹿なことをいつも思っていた。


「あの、どうかされましたか?」

ハッ、と気づき、
ああ私は今豪炎寺さんに話しかけられていたではないか!
初対面で無視なんてしたら印象は最悪だろう。


『ああ、すいません!
少し疲れていたのでボーッとしていたみたいです。
えっと、豪炎寺さんはじめまして!
私もこの店の常連で「みょうじなまえだろう?」え、な、なんで、私の名前を、』



「これでも俺がまだ木戸川に通ってた頃同じクラスで一回隣の席になったことがあったからな」

と言ってまたフッ、と笑っていた。


ああ、そんな10年も前のことを覚えていてくれていたのか!
と思いとても嬉しい気持ちになったがそれ以上に、
そんな顔で笑わないでください。
聖帝を思い出してしまう。


と、もう諦めたはずなのに、豪炎寺さんとは何ら関係などありはしないのに、そんな失礼なことを思ってしまっていた。

「まあ、10年も前の事だから覚えていなくても仕方ないか」

と言われ、少し残念そうな顔をされて、
私はそれを見てズキッと心が痛んでしまい、笑顔で

『覚えてたんだ豪炎寺くん!1年しか木戸川にいなかったのに』

と言った、
実際本心では嬉しいなんておもってない。
むしろ話しかけないでほしいと思ってる。
確かに私は豪炎寺さんのファンだが、今はそれ以上に聖帝の事を考えてしまい、
久しぶりにあった人に、昔好きだった人に重ねられてしまったら、私だったら不可解極まりない。

だが私のその考えと裏腹に豪炎寺さんは

「なあ、久しぶりに会えたことだし、一緒に飲まないか?」

と言ってきたので、
ここで断ったら最悪だな、と思って

『もちろん!』

と答えた。


ああそうだ、これがいけなかったのか

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