カービィ
□甘い物はお好き?
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「うん!!うまいな、これ!!」
「本当!!レイ、料理上手なのね!!」
「えへへ・・・ありがとう!!」
フームちゃんとブンくんの言葉に、つい口元が緩んだ。
2人にケーキを渡すととても喜んでくれた。
やっぱりこういう顔を見れることが、一番嬉しいや。
「そういえばカービィは?」
「今日はまだ来てないわ。寝てるのかしら・・・」
噂をすれば、なんとやら、という言葉は結構当たるらしく。
「ぽーよーい!!」
甘い香りを嗅ぎつけて来たかのように、目を輝かせたカービィがドアから入室!!
流石だわ・・・。
「ぽーよ!!ぽーよー!!」
「分かってるって。はい、カービィの分」
「ぽよーっ!!」
私の足にすり寄ってくるカービィが可愛くて、このままでもいいなーなんて思ってたけど、視線が冷たくなる一方なのでカービィの分を渡した。
目をこれまで以上に輝かすカービィが、また一段とかわいい。
じっと見ていると、一瞬でケーキとクッキーが口の中に消えた。
「は、早っ!!」
予想外の速さに一瞬目を疑ったよ・・・!!
おいしそうに笑うカービィを見れて、本当によかった。
「あ、フームちゃん。これお母さんとお父さんにも」
思い出して、2切れのケーキを机に置いておく。
「ありがとう、レイ!!2人とも喜ぶわ!!」
相変わらずみんなかわいい。
フームちゃんかわいい。
・・・っと、変な道進んじゃうとこだった・・・。
「あと・・・町の人には後で渡すとして、卿に渡したいんだけど・・・」
「あぁ、メタナイト卿なら自分の部屋にいるんじゃないかしら?」
微笑みながら言うフームちゃんにありがとう、と返す。
多分道分かるはず・・・。
「でもさぁ、メタナイト卿って甘いもん食べるのかなぁ?」
ブンくんが不意に放った言葉に、私の体が固まった。
「や・・・やっぱりそう思う?」
他の人にもそういうイメージがあるんなら、渡そうにも気まずい。
どうしよう・・・。
「取りあえず持って行ってみたら?大丈夫よ、人からの贈り物を受け取らないような人じゃないはずだし・・・」
「ぽよ!!」
戸惑う私に、フームちゃんが言い、カービィが勇気づけるように両手を上にあげる。
「う・・・うん。まぁ大丈夫だよね・・・!!」
そう言って深呼吸すると、フームちゃんたちの部屋から出た。
「レイって料理もできるのねー・・・。私も今度レシピ聞いておこうかしら」
「姉ちゃん作れんの?」
「何よー、私だって料理くらいできるわよ!!」
「ぽよ?」
部屋の中では、まだ明るい話し声が響いていた。
***
「えーっと、卿の部屋、卿の部屋っと・・・」
ケーキを片手に廊下を走る。
若干迷ってる感じだけど、大丈夫・・・なはず。
と、その時不意に声が聞こえた。
(何を、しているのだ)
「?・・・あー、紅染炉か」
急に声をかけてきたのは、ポケットの中に忍ばせている携帯──紅染炉だった。
ついさっきまで、存在自体忘れてたなぁ・・・。
「皆にケーキ配ってるんだよ。卿に届けに行くとこなんだー!!」
私がそう言うと、紅染炉はそうか、と言うだけでそれ以上何も返してこなかった。
・・・何がしたかったんだろう・・・。
「もしかして、紅染炉もケーキ食べたいとか?」
(・・・)
「黙るんなら図星ととるよ」
(・・・そんなことはない)
どうやらそうでもないようだ。
まぁ剣なんだし、ケーキなんか食べれるわけ無いもんね!!
「あ、卿の部屋ってどっち?」
(右だ)
紅染炉にそう言われお礼を言い、曲がり角を右に曲がった。
道のりはもう少しだ。