カービィ
□ひどい出迎え
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あの夢が覚めると、私はベッドの上で目を開けた。
全て昨日と同じだ。
側には携帯がちゃんとあって。
地球ではないこの星にいて。
この場所にいて。
やっぱり本当だ。
本当に本当だ。
身支度を整え携帯をポケットに入れ、フームちゃんとブンくん、カービィと一緒に外にでて、村の住人たちを紹介してもらった。
・・・といっても私はほとんど知ってるわけで。
村の人たちは私が悪い人じゃないと分かったら、すごく優しく接してくれた。
・・・やっぱ人(?)の温かさっていいもんだねぇ・・・。
それで、城に帰ってきた時刻は3時。
世間的に言うおやつの時間か・・・なんて呑気に思う。
「はぁぁ・・・」
私がそんな盛大な溜め息を吐いていると、目の前にいたのは卿。
こんなところで会うなんて・・・!!
というか気づかなかった・・・!!
話しかけるまいかと迷ったが、やっぱり話しかけようと決心する。
「どうも、卿」
「・・・あぁ・・・レイ、か」
「・・・・・・えーっと」
「・・・・・・・・・」
「あの、いい天気、ですよね」
「・・・?あぁ」
結果:気まずかった。
***
その頃、城の転送装置前。
デデデとエスカルゴンはテラスにいるらしかった。
誰の姿もない。
"ジジジッ・・・"
突然、装置から機械音がなる。
誰も操作を加えていないのに。
・・・そこから現れたのは。
***
城の大きな部屋───転送装置がある部屋の前では、ワドルディ数人が警備を担当していた。
槍を持ったワドルディは警備なのに、見る人からはかわいい、と思われてしまうだろう。
・・・警備の意味はあるのかどうか。
その時、背後の扉がかすかに揺れたような気がした。
ワドルディは振り向く。
・・・と同時に、
ワドルディの姿は見えなくなった・・・。
***
help、help。
緊急です、救急信号です。
私はそこに立ち尽くしていた。
目の前には私をじっと見てくる青い球体。
やばい、最高に気まずい。
むやみに話すんじゃなかった・・・!!
私は今までの行動を全て後悔し、目を伏せる。
何か言わなくちゃ。
「卿・・・」
気まずい沈黙に耐えられず、私が喋りだそうとした時だった。
急に地面が揺れ出す。
「!!何!?」
「!!あれは!!」
卿も相当慌てているようだ。
まぁその理由は痛いほどよくわかる。
目の前には魔獣の大群。
今まさにこちらへ近づき、襲おうとしているのだ。
恐ろしい程にうじゃってる・・・!!
「えええええええっ!?何あれ多い!!」
私が思わず叫び声をあげる。
だってこんな魔獣見たことないし・・・。
多すぎるし・・・。
卿は魔獣が来ていない反対側へ振り向き、「此処は一旦退け!!」というと走り出した。
それと同時に私も走り出す。
魔獣はまだ追ってくるようだ。
・・・どれだけ走っただろう。
魔獣はまだ追いかけるのをやめない。
幸い、魔獣たちは足がそんなに早くなくて助かった。
私は剣道部だからそこそこ体力もありますよ。えぇ。
「フームちゃん達・・・大丈夫かな・・・」
「心配ないだろう。カービィがいるだろうからな」
「えっ、カービィ遊びにきてたんですか!?」
私でも知らないのに・・・流石ストーカー卿っ・・・!!
・・・っと、口が滑った。
こんなピンチの時に私は何を考えているのだろう、なんて思いながらまだ走り続けた。