カービィ

□戸惑いのお話
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今度こそ、レイは目を覚ました。

辺りをキョロキョロ見回して、特に何もないことを確認すると、思わずため息が出た。

「・・・はぁ・・・」

自分の頬をつねってみる。
・・・痛かった。
ここは夢じゃないんだ。
地球でもないけど、あの暗闇でもない。
夢のようで、夢じゃないんだ。

あたりの景色は、昨日眠りについた部屋そのものだった。
レイはベッドからでて、身支度をし始める。
痛む頬を抑えながらとりあえず外に出てみることにした。













***


「あら、レイー!!」

廊下を歩いていると、遠くから自分を呼ぶ声がきこえて振り返る。
フームちゃんだ。

「?どうしたんですかー?」

私が聞き返すとフームちゃんはここまで走ってきて、にこっと微笑んだ。

「今から散歩ついでに遊びに行くの。ブンとカービィも一緒なんだけど・・・どう?」

「あっ、いいですね!!ご一緒させて頂きます!!」

相変わらず優しいフームちゃん。
こうやって誘われるのって何だか嬉しいよね。





***





「それー!!」

ブンくんがボールを蹴った。
ボールは遥か高くまで舞い上がる。

「ぽーよーいっ!!」

そのボールを追いかけて、カービィはとことこと走る。
・・・かわいい。
すごくかわいい。

一方私とフームちゃんはというと、木陰に座ってちょっとしたお喋り中。
こういうのって女の子っぽいよね。

「レイも一緒にやろうぜー!!」

ブンくんにボール蹴りに誘われるが、私は「もうちょっとしたら行きますよー!!」といってフームちゃんとの話を、とりあえず楽しむことにした。

・・・ポップスターも地球と同じ様に女の話は長いようだ。
うん、理解。

「あの、卿ってどんな人ですか・・・?」

唐突に出た質問に、私もフームちゃんも驚いてしまった。
何でこんなこと聞いたんだ・・・私・・・!!

「うーん・・・そうねぇ、剣の腕前がよくて、クールだけど何処か抜けてる元星の戦士・・・って感じかしら」

・・・すごく言われてますよ、卿。
あ、それプラス、低所恐怖症なんzy・・・・・・。

いや、何でもない。

「え、もしかしてレイったらメタナイト卿のこと好きなの?」

「へぁっ!?」

ニヤニヤしながら言うフームちゃんに変な声が出た私は、慌てて首を振る。

「すすっすすすきなんてとんでもない、いや、なんとなく聞いてみただけですっ!!」

・・・動揺しすぎた。

「あら?そんなことを聞いてくるからそうだと思ったんだけど・・・」

「うぅ・・・」

そこで私は昔のことを思い出した。
幼い私はそのクールな剣士に一目惚れ。
将来こんな人と結婚するんだー、なんて思っちゃったりして。

・・・もちろんそれは小さい頃の話で、今は現実にはそんな人いないんだ、と痛いほど痛感している。

・・・でも今はそんな卿が私の手の届くところにいる。
嬉しくて、たまらないはずなのだ。
きっと──多分。

「あ、あと私たちには気軽に話してもらっていいのよ?まぁデデデになったら・・・別だけど」

フームちゃんの言葉で一気に我に返った。
そういえばずっと敬語だったっけ。

「あっ、そうですよねー・・・じゃなくてそうだよね!!」

大王さんには素敵ですとかいっちゃってるしね。

「姉ちゃーん、ボールー!!」

ブンくんが大声で叫んでいる。
フームちゃんの近くには、確かにボールが転がってきていた。
・・・かなり長距離にとんできたな。

「よし、私も混ぜてー!!ブンくん!!」

私はそう言って、フームちゃんと一緒にカービィとブンくんの方へ走りだした。








平凡でただの繰り返しのような地球での私の暮らしじゃ、考えられないようなとても平和な日常だった。

地球では、今も政治とか何やらで騒いでいるのだろうか。
つまらないことで、争いがおこっているのだろうか。


そう思うと、このポップスターの暮らしは、素晴らしくて。
今の地球じゃ努力してもつかみ取れないものなんだろうな、なんて思ってしまった。
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