カービィ

□闘いのお話
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魔獣から逃げてきた私たちは、物影に身を潜めていた。

「此処にいればしばらくは安全ね・・・」

フームちゃんがそういうと、はぁっとため息をつく。

「レイがきて早々こんなことになるなんて・・・。大丈夫?」

「あ、あぁ、うん、全然大丈夫ですよ!!」

ま、そういいながら大丈夫なわけではないけどね、多分。
ちょっとびっくりしたし。

「それにしても、レイ、初めて魔獣みたわりには落ち着いてるよなー・・・」

ブン君の一言にギクッと肩を強ばらせた。
・・・初めて見るわけじゃないもん。

「えっ、やだなぁ、ははっ・・・」

慌てて私が苦笑いをしながら言うと、そっかとあっさり返された。
・・・ごまかしにもなってない。

「ぽよっ!!」

と、突然カービィが声をあげたのを聞いて、3人一緒に振り向く。
そこにはさっきの魔獣がいた。

私が圧倒的な大きさに気を取られているその時。

「よけろっ!!」
「ふぇっ!?」

魔獣を追っていた卿が突然現れて、はっと上を見ると岩が落下してくるのが分かった。
きっと魔獣の攻撃があたって天井が崩れたんだろう。

とっさによけようと体を動かすが、これじゃ間に合わない・・・!!


もうだめだ、つぶれる!!


私が痛みを覚悟した、その時。








時間が、止まった気がした。



















***


「ん・・・」

私・・・どうしよう、死んじゃったかな・・・。
目を開くと、目の前は暗闇に満ちていた。

「生きてるよ」

突然かかった声に、体を起こして辺りを見回す。

「誰!?」

そこで自分の置かれた状況に気づいた。

体が・・・元の人間に戻ってる・・・!?

まさか、あれは夢で戻ってこれた、とか?

「君は戻ってないよ。君はまだ、あそこにいる」

・・・え、心読まれてる?
そう思った瞬間、目の前の暗闇に数字の羅列が浮かび上がってきた。

「あそこにいるったって・・・ここ、どこ?」

「その質問に答える意味はない」

あっさり即答された。
声はきこえるのに姿が見えない。

「君は・・・今魔獣と遭遇していた。それに手を差し伸べたのが自分」

意味が分からない。
お前は何者だ?
どうして私を助けてくれた?
そもそも私がポップスターに来た理由は?

「力をかそう。君の携帯電話に宿そう」

急言われた言葉に驚いたが、相変わらず意味が分からなかった。

「・・・は、携帯電話?」

私が首を傾げた瞬間、ポケットから携帯電話が出てきた。
私の目の前にふわふわと浮かんでみせる。

・・・もうポップスターに来た時点で、大抵の事じゃあ驚かないよ。

携帯電話に光と稲妻が走る。
緑に発光したそれは、カービィのプラズマを連想させた。

瞬間、私の意識は急に途切れた。

数字の羅列は見えなくなり、レイの体は闇に飲み込まれていった。
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