カービィ

□トリップのお話
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私は目が覚めた。
まだ目は開いていないので、意識が戻ったというところか。
私は、手元にある携帯をしっかり握りしめた。

明かりが段々目の奥まで浸透していく。
何だか頬が冷たい。
風が吹いては、「サァッ」と心地のいい音がする。
草原がさざめいている。

・・・草原?
何で今ここに草原というキーワードが出てきたんだろう。
私の部屋の中のはずなのに。

「ん・・・」

私はパチッと目を開けた。
私、どのくらい寝たんだろう?

体を起こして、周りを見渡してみる。
と、その瞬間、私の顔が硬直した。
余りのことに、目を見開いてしまった。

あたりは知らない、真っ青な空が大きくに広がっているきれいな場所。
草原の上に寝かされている私は、突然のことに驚いている。

とても自然が豊かで、あの無機質なビルばかりの町だとは思えない。
いや、第一ビルなんて何処にもない。

それより、私は部屋の中で寝てたはず・・・。

「え・・・ここ、何処・・・?」

私の知っている場所ではない。
こんな場所、行ったこともないし見たこともない。

───と思うけどなんか引っかかる。

私は不意に自分の体を見回した。
明らかに分かる変化が私に起こっていたからだ。

等身が小さくなってる。
・・・何で?

「う・・・えぇ?」

まさか顔も変わってるんじゃ、と思い携帯のカメラ機能で確認しようと、携帯を取り出した。

しかし、電源がついていなかった。

充電はちゃんとたまっていたはずなのに、電源ボタンを押しても画面は暗いままだった。

「・・・・どーゆーこと・・・・?」

私の思い違いか、単なる故障か。

もう何がなんだか分からなくなって、私はため息をついた。

・・・と、耳をすませると声が聞こえることに気づいた。

「そっちいったぞー!!」

「ぽよぉ〜!!」

どこかから聞こえる声。
子供の声らしい。

・・・・・・・・・ぽよ?

何かどっかで聞いたような・・・。
考えている間に、ぽてぽてと足音が近づいてくる。

私は反射的に、近くの木へと身を隠した。
まだ誰かも分からない。
もしかしたらエイリアンとか・・・。

足音と同時に転がってきたのはサッカーボールだった。
そしてそのボールを拾うピンクの・・・ボール?

私は木から少し顔だして、そーっとのぞいてみた。

・・・間違いない。
やっぱり、あの「ぽよ」って声から予想はしてたけど。
・・・ありえないと思ってた。
ピンクの影がこちらに気づいたのか、きょろきょろし始める。

驚いて気が緩んだ私は、思わず呟いた。

「カービィ・・・!?」

そこにいたのは紛れもない、国民的人気アイドル、星のカービィだった。

カービィはこちらに焦点を合わせると私の声に反応するように、パアッと顔を喜びで満たし、「ぽよっ」とかわいらしく返事をした。



ゲーム・・・いや、アニメの世界が何で目の前に・・・!?
これが私の求めていた世界だとでも言うのだろうか?
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