カービィ

□トリップのお話
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「ただいま」

家のドアを開けた少女はリビングに立ち寄ることもなく、階段をかけあがり自室へ入った。

母親はおかえり、と一言言うと夕飯の支度へ戻っていく。
それが当たり前であるように。

自室へと入っていった彼女はかばんを置くなり、ベッドへと倒れこんだ。
そして、じっと天井をただ、ただ睨んでいた。


彼女の名前はレイ。
現在高校2年生。
彼女には友達も、家族もいる。
勉強もそこそこできるし、運動は剣道部に所属している彼女にとっては得意分野でもあった。


しかし、毎日がつまらない。
ただ、そういう思いだけが募っていくばかりだった。

彼女は非現実的なものが大好きだった。
例えば、人が魔法を使えたり、自然と戯れたり────まるでアニメのような世界。

明るくて、かわいいものが大好きなところは女の子っぽいと思う。

でも友達とくだらない話をして、笑って、勉強して、の毎日がつまらなかった。
繰り返しがつまらなかったのだ。

親は最近、彼女が高校生になってから冷たい態度をとるだけだった。

彼女は空を睨みつけたまま、ため息をついた。

「あぁあ・・・このまま現実逃避したい・・・」

自分でも変なことを呟いた、と思ったのか笑い、自傷した。

彼女は携帯を取り出すと新着メールを確認した。
そこにメールは見当たらない。
このあともどうせ暇だ。
友達にメールでもするか・・・。

手慣れない不器用な指先で文字を打つ。
あぁ、これもそこらへんの女子高生から見たら変なんだろうな・・・。

彼女は送信し終わるのを確認し、携帯を手でぎゅっと握った。

何故かため息がでた。


なんだか、眠い。


よし、ちょっとぐらい寝てもいいよね・・・・。
返信がすぐ返ってくるわけでもないし。

そう思った彼女は、携帯を胸の上で握ったまま目を瞑った。

外では暗闇の中、薄い月が明るい光を放っている。
周りで光るネオンは、都会の空気を臭わせる。

が、そのネオンが突然、消え去った。












***



君は誰?

え?

携帯電話?

これがどうしたの?

全ての始まり?

世界が変わる?

待って────待って!!
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