おでんと日本酒

□二人だけの空間
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「ただいま」
千尋が帰ってくると、すぐに羽瑠が駆けてきた。
「おかえり、ケーキ買ってきてくれた?」
「これでしょうか?姫」
「ありがと」
羽瑠はケーキを手にすると再び奥に戻っていった。
「たくっ…現金なやつ」

千尋と羽瑠は住宅街に一軒家を持つ夫婦だ。だが、羽瑠は精神的に幼い面があるので、知らない人からは兄弟や親子に間違われたこともある。一方で、近所の人からは若くて仲の良い夫婦だと好評で近所付き合いも悪くない方だ。

玄関の鍵を閉めて、千尋も台所へと向かった。
「おいし?」
羽瑠の前に座って千尋が聞いた。
「うん!今日ね、なんかすっごくケーキが食べたくなったの」
無邪気に返してくる羽瑠。彼女はとても気分屋だ。
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