枝豆とビール
□執着
1ページ/12ページ
青年は少女に服を着せた。
フリルのたくさん付いたメイド服。
カメラを手に青年は写真を撮る。
青年は少女すらも金のために使っていた。
少女は青年に尋ねる。
「次は何をするの?お兄ちゃん」
少女の笑顔はあどけなかった。
*********
佐川千尋(19)、羽瑠(7)
家族はこれだけ。
兄妹であるが血の繋がりはない。
子持ち同士の再婚の親たちは新婚旅行先の事故で命を落とした。
今は両親が残した貯金、保険金、兄・千尋の稼ぎ等で生活している。
羽瑠の学費の関係でちゃんとした葬式はまだあげられていない。
二人が初めて会った日、羽瑠は千尋に恋をした。
それは恐ろしいほど羽瑠の心を支配した。
きっと母親を亡くしたばかりということもあるのだろうが、その執着心は異常以外の何でもなかった。
このときから少女のすべては千尋だけになってしまったのだ。
*********