天使と悪魔
□Wing6
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「エステリーゼ様!ご無事でしたか… 」
「……………フレン」
嬉しそうに、安心したかのように彼が、フレンが喋っている。
だが、その言葉は私の耳には届かなかった。
ハルルの樹の下で出会ったレイヴンから堕天の方法を聞いた。
堕天すれば、彼の側にいることができる。
でもそれは今までの仲間を、天使を、フレンを裏切ること。
迷っていた。
私は、どうすればいいのか。
「…エステリーゼ様?」
何も返事をしない私を心配してか、フレンが顔を覗きこんでいた。
「体調が、優れないのですか…?」
「…いえ、大丈夫ですよ」
彼の顔は、腑に落ちないと言っているかのようだった。
これ以上心配をかけないように笑みを浮かべてその場を去った。