天使と悪魔

□Wing4
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腑に落ちないまま、人間界へと降り立つ。
ハルルの花は、いつ見ても美しい。落ち込んだ心を癒してくれる。


誰かに、この思いの丈を聞いてほしい。
ユーリなら、きっと聞いてくれる。


そんな気がする。


頭に浮かぶのは愛しき黒の姿で。
長い黒髪を揺らす、青年の姿で。

思い浮かべるだけで、胸がいっぱいだった。




「ユーリー…いますか?」



「あいつなら来ないわ。仕事押し付けてきたもの」




タンッと前に降り立ったのはショートの茶髪をした悪魔の少女でした。
年は私よりも幼く見える。背も、小さい。




「率直に言うわ。あいつとは二度と関わらないで」



「…どうして、です?フレンも、ユーリとは関わるなって…
いけないことなのはわかってます」



「ならなおさら…」



「それでも!私は彼に会いたいです!彼をもっと知りたいです!!」




悪魔と天使は結ばれない。
結ばれることなど、ないのだ。

たとえそうだとしても、私は彼を求める。求め続ける。



「アンタのその恋は誰にも認められることなんてないのよ!?」



「それでもいい。それでもいいんです!
私はユーリの側にいられればそれでいいんです!」



「それじゃあアンタが幸せになれないじゃない!」




どうして。

悪魔である彼女が、天使である私の幸せを望むのだろう。



「エステルは、幸せにならなきゃダメなの…」



ポロポロとこぼれだした滴に私も涙を誘われた。


なぜここまで、私のことを思ってくれるのだろう。
泣き出してしまった彼女の髪を撫でる。
落ち着くように、彼女の笑顔を私は願った。




――――――――エステルはアタシのし、し、しし親友なんだからね!!!




記憶に浮かぶのは顔を真っ赤にして、親友宣言をする私の親友の姿だった。





執筆 H25.10.14.月
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