天使と悪魔
□Wing4
1ページ/2ページ
「フレン、フレン!」
「ど、どうかなさったのですか、エステリーゼ様…」
今日も制服を奪われたのかな、と思いつつ私服で廊下を歩いていたフレンを呼び止める。
彼は白と青以外に持っていないのだろうか。時に思うことである。
まあ、これは関係ないこと。
「また、悪魔の方に会ったのです。
彼女は…許されぬ罪を負ったと。ギルドの掟を破った…と」
「ジュディス……」
「ご存知なのですか?」
今、彼が呟いたのは多分、彼女の名前だ。
私は彼女の名前を聞いていないが、きっとそうだろう。
「……………」
「知ってるんですね。″前″の私はどうなったのですか?…なぜ、隠すんですか」
私だけが置いていかれる。
私だけ1人ぽっち。
フレンは、私が何かを知ることを拒んでる。
″前″の私を知ることを拒んでる。
何か、いけないことでもあるのだろうか。
私は知りたい。
それを知れば、ユーリに近づける。そんな気がする。
でも知ってしまえば後戻りはできない気がする。
それでもいい。知りたい、近づきたい。
「私は…!………………」
「…フレン?」
「貴女を守るためです。わかってください」
「わかれと言われても無理です!私は知りたい!!」
「……僕はあの日を繰り返したくないのです。…失礼します」
すれ違い様に香った夜の香り。わずかに、血の香りが混じっていた。