天使と悪魔
□Wing2
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「フレン、フレン、」
「どうしました、エステリーゼ様」
白銀の鎧をまとい、マントをなびかせて。
ほほえみを浮かべながら振り返るその様は、さながら一国の王子と言えよう。
「昨日、またユーリに会うことができました」
「…そう、ですか」
私から視線をそらし、遠くを見つめる。
寂しげな色を映して、過去に思いを馳せて。
悔しさを、滲ませて。
「それで、私、エステルって愛称をいただきました!」
「…………………!エス、テル…?」
「はい、そうです。エステルです。フレンも今度からそう呼んでください♪…フレン?」
ブツブツと、「あいつか?いや…」と自問自答を繰り返している。
気になって、顔を覗きこんでみる。
「え、エステリーゼ様!?」
「…どうしたんです?フレン。
私がユーリの話をしてから、様子がおかしいですよ…?」
「いえ、何でもありませんよ。何でも…」
「…………本当です?」
作り笑いを浮かべ、一言断り去っていく彼の背中を見つめ、疑問を抱くのだった。