TOA.1
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ガヤガヤと人通りが多い街の道のりを、ガイとルークは二人で歩いていた。なんでかって?それは今日が夕食当番の、ジェイドに頼まれたからだ。
『…食材が足りませんねぇ。…ガイルーク、すみませんが買い出しを頼まれて貰えませんか?』
『はぁ?やだよ、面倒くせぇ。何で俺達が買い出しになんか行かなくちゃなんねぇんだよ』
『おや?ルーク、そんな事言ってもいいんですか?…私の部屋はガイの部屋の隣、いつもガイの部屋から何か物音が聞こえるのですが、あれは何でしょうねぇ?』
『…っジェイド、お前まさか…!』
『じゃあ、お願いしますね、買い出し』
遠い距離からルークとジェイドを見ているガイに、こんな二人の会話が聞こえるわけもなく、どんどん真っ赤になっていくルークを眉を寄せて見ているしかなかった。
そんなこんなで、仕方なくガイと共に買い出しに出てきたルーク。その顔はいかにも不満そうな顔だ。いつまでも不満気な顔をしているルークにガイは不思議に首を傾げた。
「ルーク、どうした?さっき、ジェイドに何か言われたのか?」
「…っな、何もねぇよ!いいから行くぞ、ガイ!」
「あ、おい、ルーク!」
何があったか知らないガイは、みるみる真っ赤になりすたすたと先に進んでいくルークに急いで着いていくしかなかった。
それから、ジェイドに頼まれた食材を買い、少なくなった道具なども買い終えると、仲間の元へ帰ろうと来た道を戻る。
「あーあ、買い出しなんて楽しくねぇよなー」
「まぁ、そう言うなってルーク。これやるから、な?」
片手で荷物を抱えているガイの、もう片方の手から出たのは、ルークが好きなソフトクリーム。それを見たルークは目を輝かせてそれを受け取った。
「うっめー!ガイ、いつこんなん買ったんだよ?」
「さっきルークが道具選んでた時だよ。今日一日、疲れただろ?」
「ありがとな、ガイ」
嬉しそうにガイがやったソフトクリームを食べているルークからは、最初の不満そうな顔はどこかへ消えていた。にこやかな顔のルークの口端には食べている最中に着いてしまったらしく、白くソフトクリームがついている。
「ルーク…」
「ん、なんだよガ────」
振り返ったルークの言葉が止まったのは、振り向いた瞬間に何の前触れもなく、突然ガイがルークの口端を舐めたから。一瞬、何をされたか分からなくなったルークだったが、時間が経つにつれてやっぱり顔が赤くなっていった。
「ばっ…!何してんだよガイ!!人が見てたらどうすんだよ、馬鹿!!」
運良く、今この道は人通りが少なく、更に人影もなかった。怒っているのか恥ずかしいのかで体をわなわなと震えさせているルーク。その光景にガイはクスクスと頬を緩ませて笑った。
「ついてたんだよ、ソフトクリーム」
ガイが教えてやると、それを聞いたルークは恥ずかしさで真っ赤になり、ぱくぱくと口を動かしている。そしてルークの手元にあるソフトクリームを一口食べたガイは、よしよしと優しくルークの頭を撫でた。
「さぁ、帰るぞルーク」
「ちょ…ガイ!待てよ!」
優しく微笑み先に歩いて行くガイをルークは早足で追い掛ける。
買い出しは嫌いだけどガイと一緒なら楽しいかもな。
大好きなソフトクリームを食べながら頬をを緩め、ルークはそんな事を思い浮べた。
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