TOA.1

□偽物
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俺がアッシュのレプリカ…?冗談だろ?

バチカル廃工業を出たすぐ後、あいつと剣を合わせた。雨のせいで髪が濡れふとあいつの顔を見た瞬間、時間が止まった気がした。まるで、鏡の中の自分と剣を合わせているみたいだった。


「お前は俺のレプリカだ。つまり、俺の偽物なんだよ!あの日から…。そう、7年前からな!」


最後にあいつが俺に投げ掛けた言葉。今だに頭の中に何度も何度も響く。7年前は…、俺が誘拐された年。
あの日から俺がアッシュのレプリカ…?そんな訳ねぇ…、あり得ない。
頭ではそう思っているが、心のどこかで不安が募る。


『ルーク…、あの事件以来、人が変わりましたわ』


ふいに、いつかのナタリアの言葉が蘇る。人が変わった…。それは、偽物のルークになったからか?認めたくない。じゃあ今までの俺の人生、何だったんだよ。

アッシュと剣を交えた後、濡れた体をどうにかしようと、ケセドニアの宿で宿泊することになった。
俺はみんなと顔を合わせないよう、急いで部屋に入った。あんな事実を聞かされたら、みんなにどんな顔して会えばいいんだよ。それ以上に、みんながどう思っているのか不安だった。

ナタリアとガイは幼馴染みだ。あいつらは俺の事をどう思ってるだろうか。ナタリアとガイだけじゃない。ティアやアニス、ジェイドやイオンはどう思ってるか。


『レプリカルーク』


そう軽蔑するだろうか。
だって、7年前からアッシュじゃない…本物のルークじゃないんだぜ?
ガイはこんな俺を軽蔑するのかな。こんな俺を嫌いになるのかな。怖い。そんなこと考えたくない。
俺がベッドの上で蹲っていると、ガチャッと俺の部屋の扉が開いた。


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